米国電気電子学会(IEEE)内で標準策定を担当するIEEE Standards Association(IEEE-SA)の標準化委員会(Standards Board)が,Ethernetプロトコルを使ってサービス・プロバイダの中央局と加入者とのあいだを接続する際の標準規格「IEEE802.3ah」を全会一致で承認した。電話局からユーザー宅までの通信回線へのイーサネット導入を目指す団体Ethernet in the First Mile Alliance(EFMA)が米国時間6月24日に明らかにしたもの。

 IEEE802.3ahは,いわゆる“ファースト・マイル”または“ラスト・マイル”と呼ばれる,アクセス回線でEthernetプロトコルを使うEthernet in the First Mile(EFM)技術に関する規格。接続には銅線や光ファイバを利用し,ブロードバンド・サービスを提供することが目的。

 米Extreme Networksサービス・プロバイダ・マーケティング担当ディレクタで,EFMA会長を務めるCraig Easley氏は,「IEEE802.3ahの完成により,メトロ/アクセス・ネットワークでEthernetの利用範囲が大きく広がる」と説明する。「サービス・プロバイダは,メトロ/アクセス・ネットワークでブロードバンドEthernetサービスを提供する際に,柔軟性に富み経済性に優れた多種多様なソリューションを選べるようになる。相互接続性の問題から開放されるので,提供するサービスに注力できる」(同氏)

 EFMAのメンバー企業は,イリノイ州シカゴで開催された通信関連の展示会SUPERCOMM 2004で,初のEFM技術に関する相互接続デモンストレーションを行った。紹介した技術は,ポイント・ツー・ポイントの銅線/光ファイバ接続,ポイント・ツー・マルチポイントの光ファイバ接続(EPON),運用/管理/維持(Operation, Administration, and Maintenance:OAM)である。デモンストレーションに参加した企業は以下の通り。

 米Actelis Networks,米Agilent Technologies,米Cisco Systems,スウェーデンEricsson,Extreme Networks社,米Hatteras Networks,ドイツInfineon Technologies,Passave Networks社。

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