英Clearswiftは,企業のIT管理者向けに増加するスパム対策コストの削減に関する白書を米国時間6月24日に発表した。同白書は,スパムの仕組み,関連コスト,影響,対策ソリューションの評価方法などを説明している。また,企業のスパム関連のコスト算出を支援するために,投資回収率(ROI)の計算システムを同社サイト上で公開した。同システムは,同社の依頼により米IDCが作成したもの。

 「スパムの仕組みを知り,技術と実装オプションの評価を行なうことは困難な仕事である。同白書は,スパムと戦う企業のIT担当者に基本的な情報を与えるものである。必要ないコンテンツによるコスト増加を明確に定義し,適切なソリューションを選択するための概要を提供する」(IDC社のBrian Burke氏)

 IDC社によれば,スパム対策を実装していない企業では,電子メール・ユーザーはスパムによって毎日平均10分間を無駄にしている。この時間を生産性に換算すると,5000人の電子メール・ユーザーを抱える企業は,年間410万ドルの損失を被ることになる。

 スパム関連のコストは,ユーザーの時間損失だけに留まらない。スパム対策をとっていない企業のIT担当もスパムに対応しなければならない。企業の規模によっても異なるが,ストレージに掛かる費用も大きいという。

 米国では,2003年に企業の70%近くが対スパム・ソリューションを実装している。2004年には,20%の増加が予想されている。IDC社がClearswift社のために作成した計算システムでは,ユーザーが電子メール・ユーザー数,ライセンスの初期コスト,年間のメンテナンス費用を入力するとROIと投資の回収に掛かる時間が算出される。

 「スパム受信者と電子メール・システムの管理者両方の時間損失を計算するのは困難である。ROIの計算システムでは,企業にスパムとスパム管理に関連する現実的なコストを提供するために,すべての可変要素を考慮に入れた」(Clearswift社製品担当副社長のAlyn Hockey氏)

 IDC社によれば,対スパム・ソリューションによりユーザーがスパムに対応する時間を50%削減できる。5000人の電子メール・ユーザーを抱える企業では,年間78万ドルの節約につながる。また,適切なツールを実装した場合には,IT担当従業員の損失時間が56%軽減され,IT担当1人につき年間1万3000ドルが節減できるという。

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