米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は,同社社員が顧客情報を盗み,第三者に売却した容疑で逮捕されたことについて,米国時間6月23日にコメントを発表した。

 AOL社は,「今年初頭に,当社は大手スパム業者を相手取った訴訟を開始した。その過程で,当社の社員が2003年に会員のスクリーンネームを盗難したことを発見した。これらのスクリーンネームはスパム・メール送信に利用されたとみられる」と説明した。なお同社によると,「会員のクレジット・カード番号やパスワード情報が盗み出された形跡はなかった」という。

 米メディアの報道(Messaging Pipeline)によると,逮捕されたのはバージニア州ダレスのAOL社オフィスに在籍していたJason Smathers(24才)で,勤務中に9200万人分のスクリーンネームを盗み,ラスベガス在住のSean Dunaway(21才)に販売した疑い。Smathersは顧客リストにアクセスする権限を持っていなかったが,他の社員のアクセス・コードを使ったという。AOL社はSmathersを6月23日に解雇している。またDunawayは,購入したリストをオンライン・ギャンブルの宣伝に利用したほか,5万2000ドルでスパム業者に販売した。なお,Dunawayもすでに逮捕されている。両容疑者は迷惑メール対策法(CAN-SPAM)に基づき,最長5年の禁固刑,あるいは25万ドル以上の罰金が課される。

 「このような事件の発生をたいへん遺憾に思う。今回の捜査および逮捕から学び,内部手続きの詳細な見直しと強化を図る。事態を深刻に受け止め,今後もスパム業者の責任を追及していく」(AOL社)

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