米MasterCard Internationalとセキュリティ・ソフトを手掛ける米NameProtectは,「フィッシング(phishing)」と呼ばれる詐欺行為の撲滅に向けて協力体制を敷く。MasterCard社が米国時間6月21日に明らかにしたもの。「消費者が急増するフィッシングの被害に遭う前に,積極的な取り組みを行う」(MasterCard社)

 フィッシングは,不正な電子メールやWebサイトを利用して,パスワードやPIN(暗証番号)といった個人情報を引き出す手法。盗まれた個人情報は,オンラインのブラック・マーケットで売買されたり,口座の不正アクセスに悪用される。

 NameProtect社は,オンライン犯罪をリアルタイムで検知する同社の技術を使って,ドメイン名,Webページ,掲示板,スパム・メールなどを監視する。フィッシングに利用されているWebサイトや,カード情報を不正に売買する違法グループなどを発見次第,MasterCard社に報告する。

 MasterCard社はFBI(連邦捜査局),米国郵政公社,国際刑事警察機構といった司法当局に通報するほか,クレジット・カードの不正利用を事前に防ぐために,同社のMC Alertsサービスを通じて,2万5000を超える加盟金融機関に情報を流すという。

 MasterCard社Global Security & Risk Services部門担当上級副社長のSergio Pinon氏は,「フィッシングを行う犯罪者に真っ向から立ち向かう。個人情報を盗むために作られたWebサイトや,クレジット・カード情報の売買を行うブラック・マーケットを突きとめて,消費者が被害に遭う前に違法行為を摘発する」と説明した。

 フィッシング対策の業界団体Anti-Phishing Working Groupによると,2004年4月には1125件のフィッシング行為が報告されており,前月と比べ180%増加しているという。

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