米Broadcomによる米Zyray Wirelessの買収について両社は最終合意に達した。Broadcom社が米国時間6月16日に明らかにしたもの。

 Zyray社は,第3世代(3G)携帯電話方式であるWCDMA用のベースバンド・コプロセサ「SPINNERchip」を手がける企業。SPINNERchipとBroadcom社の単一チップEDGE/GPRS/GSMおよびGPRS/GSMベースバンド・プロセサを組み合わせると,2チップ構成のWCDMAマルチ・モード携帯電話機を短期間で開発できるという。

 さらにZyray社は,WCDMAを高度化したパケット通信方式HSDPA機能の開発や,WCDMAとHSDPAの性能向上を実現するMulti-In, Multi-Out(MIMO)トランシーバ技術の開発も行っている。

 買収は,Broadcom社のクラスA普通株約223万株をZyray社の全発行済み株式と交換して行う。6月15日時点のBroadcom社の株価(42.84ドル)で換算すると,総額約9600万ドルの取引になるという。Broadcom社はZyray社に対し300万相当の兌換(だかん)紙幣で投資を実施しているが,買収に伴い償還せず無効化するとしている。

 両社の役員会は既に買収を承認しており,現在Zyray社株主による承認などを待っている状態。Broadcom社は2004年第3四半期中に手続きが完了すると見込む。

◎関連記事
止まらぬ米ブロードコムの買収攻勢,今年12番目はMPEG-2 LSIベンチャー
米国のモバイル通信,「2007年にWi-Fiユーザー数が3Gユーザー数を上回る」,米調査
「数年遅れだが,3G無線ネットワークの展開は進んでいる」,米調査会社
「世界のGSM加入者数が10億人を超える」,3G Americasが発表
「米大陸の携帯電話ユーザーの90%はGSM方式を選択」,3G Americasが発表
「2003年Q4の世界携帯電話出荷台数は前年同期比29.7%増,スマートフォンは182.3%増加」,米IDC
「2004年は広帯域接続と携帯電話の普及が加速する」,米社調査
もうこれ以上は待たせない,W-CDMAは来年一気に行く

[発表資料へ]