米AMDと富士通の合弁企業であるSpansion社が,フラッシュ・メモリーを高密度化する第2世代「MirrorBit」技術を使った製品を発表した。AMD社が米国時間6月15日に明らかにしたもの。動作電圧1.8Vで記憶容量256Mビット,128Mビット,64Mビットの製品を提供するほか,動作電圧3.0VのNOR型フラッシュ・メモリー「S29GL512N」の製造プロセスを110nmルールに微細化する。

 MirrorBitは,フラッシュ・メモリーの各セルに2つの情報を格納することで,記録密度を2倍に高める技術。AMD社は,「高解像度カメラやストリーミング・ビデオ,最新のゲームやアプリケーションに対応している携帯電話機に最適」としている。

 Spansion社社長兼CEOのBertrand Cambou氏は「第1世代のMirrorBit技術に対応したフラッシュ・メモリーだと,100ドルを切る携帯電話機の高機能化/高性能化は難しかった」と説明する。「第2世代MirrorBit技術は価格性能比が優れているので,無線機器向けフラッシュ・メモリーの業界標準になるだろう」(同氏)

 第2世代MirrorBit技術を適用した1.8V対応「WS-N」フラッシュ・メモリー製品系列として,Spansion社は256Mビット,128Mビット,64Mビットの製品をそれぞれ単一ダイとマルチ・チップ・パッケージ(MCP)で提供する。バースト・モード時の読み取りクロック周波数は80MHz,連続スループットは毎秒150Mバイト。高速化バッファ動作を利用することで,最大書き込み速度は毎秒2.5Mバイトとなる。重要なOSのコードや設定,アプリケーションを保護する「Advanced Sector Protection」機能を備える。従来の同社製フラッシュ・メモリーとのピン互換性がある。

 単一ダイおよびMCPとも,現在サンプル品を出荷中。量産出荷は,256Mビット版が2004年第3四半期,128Mビット版が同年第4四半期,64Mビット版が2005年第1四半期の予定。1万個ロット時の単価は,それぞれ14.00ドル,9.00ドル,5.75ドル。

 一方3.0V動作のS29GL512Nは,110nm製造プロセスによる量産品を2004年第3四半期に出荷開始する。

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