「IT企業では,従業員の士気低下が深刻な問題になっており,高離職率の長期化,生産性の低下,業績の悪化などを招く恐れがある」。米META Groupは米国時間6月9日,IT企業における従業員の勤労意欲について調査した結果を発表した。

 IT企業650社以上を対象に実施した調査によると,72%以上の企業で従業員の士気低下が深刻な問題になっているという。「不景気が長引き,予算の削減や人員整理など,業界の先行き不透明感が従業員の士気を下げている」(META Group社プログラム・ディレクタのMaria Schafer氏)

 このため企業は,対処策として,「優秀な社員を表彰するプログラム」(45%),「スキル向上プログラム」(40%),「キャリア向上プログラム」(23%),「プロフェッショナル養成プログラム」(10%)などを実施している。一方,「金銭的なインセンティブ」を提供する企業はわずか4%だった。

 また,企業の大半が社員の不満を把握しようと努めている。社内アンケートを実施している企業は68%,社員の業績査定プロセスで社員からフィードバックを得る企業は38%,社内に設置した“投書箱”でコミュニケーションを図ろうとする企業は14%だった。

 なお米メディア(CNET News.com)の報道によると,IT企業の従業員の給与は,非IT企業と比べ少なくとも20%高いという。その理由として,(1)IT企業は重要な人材確保のために高給を支払っている(2)高いスキルを持つ人材の需要が高い(3)求人が増加傾向にある,を挙げている。

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