米IDCが,世界パソコン市場に関する調査結果を米国時間6月9日に発表した。それによると,2004年の出荷台数は1億7500万台で,前年に比べ13.5%伸びるという。出荷台数が増え,需要がより高い機種に移行することもあり,売上高は前年比9.2%増の1945億ドルと予測する。

 IDCは,「2004年の高い伸び率が2005年以降の出荷台数に与える影響は比較的小さい」とみており,2005年は前年比10.7%増,2006年から2008年は同約8%増と見込む。売上高は3~5%で成長する。

 デスクトップ・パソコンとノート・パソコンの関係について,IDCのWorldwide Quarterly PC Tracker担当ディレクタであるLoren Loverde氏は「今後もノート・パソコンの方がデスクトップ・パソコンより速いペースで増えるが,最近の調査結果をみる限り,デスクトップ・パソコンの競争力はまだ十分高い」と説明する。

 2004年第1四半期における出荷台数を比較すると,デスクトップ・パソコンは前年同期比13.4%増,ノート・パソコンは28.5%増だった。しかし,現在もデスクトップ・パソコンが総出荷台数の7割以上を占めている。「ノート・パソコンの需要増の要因が,無線機能,価格低下,携帯性に対する必要性の高まりにあることはほぼ間違いない。ただし,多くのユーザーは今も価格を重視しており,モバイル・コンピューティングのメリットと比べている」(同氏)

 地域別の主な予測は以下の通り。

・米国:
 企業需要の改善と継続的な消費者需要により,今後2年間は出荷台数の2ケタ成長が続く。金利上昇と消費者の債務の影響で全体的な成長は頭打ちになるが,買い替え需要と低コスト・システムが市場を推進し続ける

・西欧:
 企業支出の回復と長期間買い替えが行われていなかったことから,2004年の出荷台数は前年に比べ15%弱増える。消費者市場では特にノート・パソコンの拡大が継続し,依然として市場をけん引する主要因であり続ける

・日本:
 厳しい経済状況で市場が抑制されている上,すでにノート・パソコンの普及率は高い。そのため,2004年の成長率は6%強にとどまる(前年は3%弱)。2004年の残りの期間は,成長の主軸が消費者から企業に移る

・アジア太平洋地域:
 中国などの輸出増加と高い設備投資の効果で,2004年の地域全体の成長率は16%を超える。中国独自の無線LAN向け暗号化標準規格WAPIに関する問題がほぼ解消されたことで,ノート・パソコンの急速な普及の継続に対する障害もなくなった

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