「米MicrosoftとドイツのSAPは,両社の合併について話し合っていた」。Microsoft社とSAP社が米国とドイツで現地時間6月7日に明らかにした。この情報は,米Oracleの米PeopleSoft買収計画をめぐって米司法省が起こした訴訟の公判前証拠開示手続きで,提出される。両社は通常,合併や買収に関する情報を公開しない方針をとっているが,今回特例で発表を行った。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,同訴訟では,司法省側とOracle側がともに,Microsoft社の幹部を証人として召喚する予定である。司法省は,Oracle社がPeopleSoft社を買収した場合,高機能ERPソフトウエア市場がSAP社とOracle社の独占状態に陥るとして,Oracle社の買収計画阻止を狙っている。一方Oracle社は,同市場には多数のベンダーが存在していると主張し,Microsoft社などの新規参入によって常に競争があると反論している。

 SAP社によれば,同社とMicrosoft社がWebサービスの共同開発に関して話し合っている最中,Microsoft社が合併案を持ちかけてきたという。Microsoft社は,合併による将来性を探るための予備的協議を昨年開始ししたことを認めた。ただし,「合併手続きとそれに続く業務統合が非常に複雑になると考えられるため」(Microsoft社),この話し合いは数カ月前に打ち切られた。両社とも「(合併案の)協議を再開する意志はない」としている。

 合併案は白紙に戻ったが,両社はWebサービスに関する関係拡大と,特許技術のクロスライセンス契約で合意に達した(2004年5月12日発表の提携)。

◎関連記事
米Microsoftと独SAP,Webサービスで関係強化,「.NET」と「NetWeaver」の統合を推進
【詳報】米Sunと米Microsoftがついに全面和解,今後は技術提携も
米Oracle,Java/Webサービス開発環境の新版「Oracle JDeveloper 10g」を発表
「Webサービス向けソフトは米MS,IBM,Oracleが優勢」,米データクエストの調査
「米Microsoftへの過剰な依存を,多くの中小企業が懸念」--米調査
米司法省,米PeopleSoft買収を阻止すべく米Oracleの提訴を決定
米Oracle,米PeopleSoft買収問題で「ECの調査に協力する」との声明を発表
米PeopleSoft,米Oracleの買収額引き下げを受け「公開買付に応じないよう株主に勧告」

[発表資料(Microsoft社のプレス・リリース)]
[発表資料(SAP社のプレス・リリース)]