コンピュータのリサイクルなどを推進する環境保護団体Computer TakeBack Campaign(CTBC)とClean Production Action(CPA)が,パソコン内部のほこりに含まれる有害物質に関する調査結果を発表した。それによると,16台の全サンプルから人体に害があるとされている臭素化難燃剤(BFR)が検出されたという。特に多かったのは,電子機器の難燃剤として最も広く使われているデカ―BDEなどポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)だった。

 調査結果について,両団体は「調査結果から,ある種の難燃剤と人体が接触する状態にあり,パソコンが家庭,オフィス,学校,企業のデカ―BDEを含むほこりの主要発生源である可能性が高いことが分かった」としている。

 PBDEは自然環境のなかで分解されにくく,食物連鎖により動物や人間の体内に入り込み,脂肪組織に蓄積されて濃度が高まる。こうした化学物質の残留性と毒性が,環境と人体に悪影響を与えかねないと懸念されているという。

 両団体は,1970年以降PBDEを大量に消費してきた分野の1つとして電子機器業界を挙げる。PBDEの約40%はパソコン,プリンタ,テレビのきょう体に使用され,特に難燃剤として最も多く使われたPBDEがデカ―BDEであるという。なお,3種類あるPBDEのうちペンタ―BDEとオクタ―BDEの2つは,2004年末までに市場から全廃する予定だが,米国では一部の州を除きデカ―BDEとそのほかのBFRの使用を続ける。

 欧州では12年前にオスロ―パリ条約(OSPAR)2により,BFRなどの段階的な廃止に向けた活動が始まり,ノルウェー,ドイツ,スウェーデンはBFRを安全な代替物質に切り替える規制を設けた。先ごろ欧州連合(EU)は,2006年以降すべてのPBDEと多臭素化ビフェニール(PBB)の使用を禁止することで合意している。

 一方米国では,メイン州の議会が2006年1月1日までにペンタ/オクタ―BDEを,2008年1月1日までにデカ―BDEを禁止する法案を通過させた。ワシントン州とカリフォルニア州でも同様の動きがある。

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[発表資料(CTBC)]
[発表資料(CPA)]