米MCIと米Qwest Communications Internationalは,地域電話ネットワーク・サービスと価格の設定に関して契約を締結した。両社が米国時間5月31日に明らかにした。契約により,MCI社はQwest社の地域電話ネットワークを利用できるようになる。両社の提携は,地域ネットワーク・アクセスに関して地域通信事業者(ILEC)と大手の競争的地域電話事業者(CLEC)間で商業的に交わされた初めての契約となる。

 両社の提携は,仲介者を交えた交渉を経て,ワシントンD.C.の連邦巡回裁判所が米連邦通信委員会(FCC)による卸し売り価格の設定に関する規制を無効とする決定を下してから90日以内に締結された。今回の契約により,MCI社の卸売価格の設定とサービスの継続が保証されることになる。

 提携により,MCI社が支払う接続料は同年12月末まで据え置きとなるため,2007年1月に設備を整えるまで十分な移行期間が与えられる。価格は,移行期間内のスケジュールに従って段階的に引き上げられて調整される。MCI社は,移行期間中に地域通信事業向けに独自のインフラを構築する可能性もある。

 同契約では,市場状況への対応を向上させるために,家庭向けと企業向けに異なる価格設定が設けられている。Qwest社の領域内の家庭にサービスを提供するCLEC向けの価格増加幅は小さくなっている。料金は地理的にも異なる。ILECに市内サービスの一部を競争相手に提供することを義務づける「アンバンドル網要素(UNE)規制」の下に,MCI社が現在購入しているUNEプラットフォームは,Qwest社の「Qwest Platform Plus」に置き換えられる。移行期間が終了するまでに,Qwest Platform Plusの料金値上げ幅は,家庭と企業向けの両方において平均5ドル未満になるという。

 また,契約により,Qwest社のQwest DSLサービスを含め,以前は組み合わせのサービスとして提供できなかったその他のサービスの提供が可能になる。そのため,MCI社は,低価格でAIN(Advanced Intelligent Network)サービスやQwest Voice Messagingサービスなどの新しい機能を利用できるようになる。

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