カリフォルニア州上院は,米Googleのインターネット・メール・サービス「Gmail」を規制する法案を可決したことを,米国時間5月27日に発表した。

 Gmailは4月1日にベータ・テストを開始しており,今夏に実働を開始する予定。ユーザー1人当たりの保存容量は,「50万ページの電子メールに相当する80億ビット(1Gバイト)」(Google社)。同サービスでは,電子メールの内容をスキャンし,関連した広告を電子メールの中に表示する文脈型広告を提供する。しかし,こうした仕組みによってプライバシが侵されるのではないかという懸念が広がっている(関連記事)。今回可決された法案は,この仕組みに制限を与えることを目的としている。

 同州上院議員Liz Figueroa氏(民主党)が提出した法案「SB 1822」では,この技術の使用をリアルタイムの場合にのみ許可し,記録を残すことを禁じている。主な内容は以下の通り。

・電子メール・プロバイダは,当技術の使用によって得た,個人を特定できる情報を保持してはならない

・このような情報に人間がアクセスできるようにしてはならない

・このような情報を第三者に譲渡してはならない

・ユーザーによる電子メールの削除は,復旧不可能な状態で完全に消去できなければならない

 「(Gmailの)新たな技術は,我々の電子メールから最も個人的で私的な内容にもとづいたプロファイルを作り出すという,恐ろしい可能性を持っている。いったん情報が外部に漏れたら,それをもとに戻すことは不可能である。この法律は,我々の最もプライベートなコミュニケーションを,まさにプライベートのまま維持することを保証するものだ」(Figueroa氏)

 同法案は現在,下院で審議に当たっている。

 ちなみに米メディアの報道(CNET News.com)によると,同法案は可決前に修正が加えらている。修正の際に削除された項目には,電子メール・プロバイダに対し,電子メールを外部から送信してくるすべてのユーザーから,メッセージ内容をスキャンしてよいとする合意を取得するよう義務づける規定が含まれていた。

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