米Deloitte & Toucheは,世界の大手金融機関のITシステムに対する攻撃が前年から倍増したとする調査結果を米国時間5月27日に発表した。大手金融機関100社に対して調査を実施した結果,83%が過去1年でシステムが攻撃を受けたことがあると回答している。前年の39%から大幅に増加している。また,攻撃を受けたとする金融機関のうち40%が金銭的損失を被ったとしている。

 システムに対する攻撃が倍増している一方で,4分の1を超える金融機関のセキュリティ予算は横ばい状態であることが明らかになった。また,予算が前年より削減されたとの回答もおよそ10%に達している。

 2004年はウイルスとワームがシステムにとって最も大きな脅威になると回答したのは70%だった。万全なウイルス対策措置を講じていると回答したのは87%で,前年の96%から低下している。また,3分の1は,セキュリティ技術が効果的に利用されていないと感じていることも明らかになった。

 「ウイルス,ワーム,悪意を持つコード,破壊活動,なりすましといったセキュリティ上の脅威は現実のものになっている。世界の金融機関においてすでに数百万ドルの損失をもたらしている。金融機関は,厳しさを増す法令への準拠の試みに加え,増加を続けるセキュリティ攻撃,プライバシの侵害と戦っている」(同社Security ServicesのTed DeZabala氏)

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