米Communications Industry Researchers(CIR)は,光伝送および電子伝送部品市場の今後の展望について調査した結果を,米国時間5月24日に発表した。それによると,同市場は2003年の約10億ドル規模から2008年には16億ドル規模へと成長する見込みである。

 光伝送分野では,公衆ネットワークに代わって,企業ネットワークが需要をけん引するようになる。このため,企業ネットワークで利用されることが多いEthernetやFibre Channel向け部品の売上高は,公衆ネットワークで利用されるSONETやSDH向け部品の売上高の約7倍に達する見通しだ。

 ネットワーク・インフラが売上高に直結するサービス・プロバイダとは異なり,企業はネットワークによる生産性,ユーザー1人当たりのコスト,通信にかかる総コストなどを熟考する傾向が強く,価格に敏感だという。このため部品メーカーは,生産規模拡大による低価格化や,競争相手の排除に注力しつつある。CIR社はそのような市場の動向を示す例として,VCSEL(vertical cavity surface laser)と量子ドット・レーザー技術の向上や,米FinisarによるドイツInfineonの光事業買収などを挙げた。

 CIR社によると,部品メーカーが今後市場で成功を収めるには,レイヤー1およびレイヤー2向け製品だけではなく,最新セキュリティや,モバイルおよびVoIPアプリケーションに対応した,より上位のレイヤー向け製品を製造することが重要だという。部品メーカーはそのような製品によって知的財産権を獲得し,利益率の高い製品を販売できるからだ。「最新の暗号化プロトコルに対応可能な,PHY/MACコンボ製品などが大きなビジネス・チャンスをもたらすだろう」(同社)

 また,電子伝送部品市場が持つ潜在性が,新規参入企業をひきつけており,米Marvell Semiconductorや米Broadcomなど,売上高の大半をレイヤー1/レイヤー2向け製品に依存する企業は苦戦を強いられる可能性があるという。

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