米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は,米連邦上院議会で開かれた公聴会において最新の「スパムの状況」に関する報告を米国時間5月20日,行なった。同社は,スパムとスパム送信者への対策の結果,会員が受信するスパムが前年から平均20~30%減少していることを明らかにした。送信が試みられたスパムの数は増加しているが,同社の会員が受信箱で目にするスパムの数は減少しているという。

 また,不正な電子メールと不快なメールを削減させる法律の立法に向けて連邦と州に働きかけるオンラインの「AOLアンチスパム請願書」に対し,200万人のAOL会員が署名していることも明らかにした。同請願書は2003年5月に署名を募り始めてから,同年9月末までに100万人の署名を集めていた。

 同社の副会長兼AOL Core Service担当社長のTed Leonsis氏は,上院商務委員会(Senate Commerce Committee)の会員に対し「AOLは,スパムとスパム送信者に対して多大な努力を払っており,より多くのツールと強力な方法を用いることにより成果を得ている」と報告している。また,「アンチスパム運動は,前年秋に迷惑メール対策法(CAN-SPAM)の施行により促進された」と述べている。

 「80%の会員は,当社のスパムに対する数多くの努力を認識しており,スパム削減によく対処していると認めている。スパム対策への認識は,2003年2月に行った調査の40%からおよそ2倍に増加している。スパム対策を施すことが,顧客満足度に好影響を与えていることは明らかである」(同氏)

 そのほかにも,スパム対策の一環として,会員のアンチスパムの意識を高めるためのキャンペーン実施,「Spamfighters」と呼ばれるアンチスパム・コミュニティの作成,順応性があるスパム・フィルタを収録する「AOL 9.0」の発表などを行なってきたことを明らかにした。

 スパム送信者に対しては,2003年と2004年にバージニア州,フロリダ州連邦裁判所において訴訟を起こしている。また,米Microsoft,米Yahoo!,米Earthlinkなどとの提携を通じてスパム対策で協調している。

 同氏は,「当社は,スパム送信者から学び,彼らが使うトリックと策略で対応した。スパムに対して反応するのではなく,要注意人物であるスパム送信者が送信を試みる以前に,送信できなくなるような事前の策を引き続き講じていく」と述べている。

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