米AT&Tは,米Sprintと提携して無線サービス市場に再参入する計画を米国時間5月18日に明らかにした。提携により,AT&T社は3000万を超える同社のサービス加入者に対して自社ブランド名の無線サービスを提供可能になる。同市場への再参入となったが,自社のインフラは持っていない。

 両社は,5年間の非独占な契約を結んだ。金額に関する詳細は明らかにされていない。AT&T社は,年内にサービス提供を予定しており,現在米国内のいくつかの市場において無線サービスのテストを実施している。

 提携により,AT&T社は,Sprint社のネットワークを借りてデータ通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)として無線サービスを提供する。Sprint PCS社との契約は非独占的なものであり,両社が互いの競争相手になるという。

 無線サービスは,既存の通信サービスに加えて提供する。長距離とローカル通話を合わせたパッケージ「AT&T OneRate」,VoIPサービスなどにバンドルして提供する予定。ブロードバンド接続を通じてVoIPにより通話できる携帯電話の提供も計画している。

 また,自社ブランド名で無線サービスを提供する以外にも,顧客向けに自社のコンテンツとアプリケーションを作成するとともにサポートも提供する。携帯電話機メーカーと独自に提携を結ぶことにより自社ブランドの携帯電話機の提供も予定している。

 ちなみに,米Cingular Wireless は同年2月にAT&T社がスピンオフした同社の無線事業部門AT&T Wirelessを買収することを発表している。

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