英ARMは,マルチプロセサ・コア「MPCore」を現地時間5月17日に発表した。同社が,米カリフォルニア州サンノゼで開催中の「Embedded Processor Forum」で明らかにした。同製品は,NECの半導体部門の米国法人NEC Electronicsとの提携の一環として開発されたもの。

 MPCoreは,「ARMv6」命令セット・アーキテクチャをベースにしており,最大4基のプロセサに対応する。パフォーマンスは,最高でDhrystone MIPS値2600を発揮する。「Adaptive Shutdown」技術と「ARM Intelligent Energy Manager」技術により消費電力量を最大で85%まで削減できるという。

 同マルチプロセサは,SMPとAMPソフトウエア・モデルの両方をサポートするとともに,幅広いOSとアプリケーション・ソフトに対応する。同社によれば,「複数のタスクを同時に行なう必要がある家庭と車載向けエンターテインメント機器に適している」という。NEC Electronics社は,同製品を家電,自動車,モバイル市場における低電力製品において採用を予定している。

 同製品は,ARMv6アーキテクチャ,次世代のリッチメディア向けのSIMDメディア処理拡張,Javaの動作を高速化するJava対応拡張命令セット「ARM Jazelle Java」技術を提供。また,設定可能なレベル1キャッシュ,64ビットAMBA AXIインタフェース,ベクター浮動小数点コプロセサ,プログラム可能な割り込み割り当て機能を提供する。

 Adaptive Shutdown機能は,使用されていないプロセサを停止させることにより,消費電力を130nmプロセスで0.57mW/MHz程に抑える。さらにARM Intelligent Energy Manager技術により,動的に消費電力の予測して電力を節約する。

 MPCoreマルチプロセサは,現在ARM社からライセンス提供されている。同製品とLinux 2.6 OS向けの評価システム,開発ツールも同日より提供される。

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