米連邦通信委員会(FCC)は,テレビ放送用の周波数帯を無免許制通信機器に開放するという提案書を米国時間5月13日に公開した。これが決定すれば,無線局免許を必要としない機器で,テレビ放送に使われていない周波数の利用が可能となる。ただし,対応する無線機器は,テレビ放送との干渉を避けるため「smart radio」と呼ばれる機能を搭載する必要がある。

 テレビ放送向け周波数帯の電波には,現在無免許で利用可能な無線ブロードバンド通信用の2.4GHzや5GHzといった電波に比べ,遠距離まで届きやすく,ビルの中にも伝わりやすいという特性がある。「テレビ用の周波数帯を無免許通信に開放すれば,無線インターネット・サービス・プロバイダ(WISP)のサービス提供範囲が広がる。その結果,特に農村部や通信インフラが整備されていない地域のユーザーに利益をもたらす」(FCC)

 さらにFCCは,「インタラクティブ・テレビ・サービスの準備も容易になるので,放送局も恩恵を受ける」としている。

 FCCは,テレビ放送用周波数帯を使う無免許制ブロードバンド機器として,2つの区分を設ける。1つ目は低出力の個人用/携帯用機器で,ノート・パソコンに装着する無線LANカードや,家庭向け無線LANなどを想定する。2つ目は,高出力の固定アクセス機器で,無線ブロードバンド・インターネット・アクセスなどの商用サービスを提供するための基地局が代表例。

 米Washingtonpost.comの報道によると,同提案書についてFCCは今後2カ月半かけて一般からの意見を受け付ける。半年~1年のうちにも最終案が決定する見込みという。

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