ドイツのSAPと米IBMは,小売り業界におけるITシステムの効率化を支援するために,世界規模の提携関係を拡大する。SAP社がニューオーリンズで開催中の国際e-business会議「SAPPHIRE」で,米国時間5月12日に明らかにしたもの。「小売業者が,絶えず変化する顧客のニーズに対応し,世界市場における競争力を強化できるように支援する」(SAP社)
エンド・ツー・エンドの共同ソリューションでは,「SAP for Retail」「SAP NetWeaver」「IBM Store Integration Framework」「IBM WebSphere」など,両社の資産とインフラを統合する。段階的な導入が可能なため,「ITソリューション関連のTCOを削減しつつ,売上高を伸ばすことができる」(同社)
両社は商品管理,POSデータ管理,Webを活用した人材確保,商品企画,予測的在庫管理などを効率的に行える製品やサービスを提供するほか,マスター・データ管理のオープンなソフトウエアや無線ICタグ(RFID)といった最新技術の導入も支援する。また,コンサルティングに関するノウハウも共有する。
IBM社Worldwide Distribution部門担当ジェネラル・マネージャのChristian Nivoix氏は,「小売業者が厳しい競争を勝ち抜くためには,成長をけん引し,運営効率と顧客サービスを向上する技術の導入を通じて,オンデマンドのビジネス・モデルを確立する必要がある」と説明した。
「業界大手の2社が協力することで,小売業者は収益性の高いエンド・ツー・エンドのバリュー・チェーンを効率的に管理し,顧客や市場のニーズを見越しながら対応できるようになる」(SAP社取締役会役員のLeo Apotheker氏)
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