米IBMは,マシンやネットワーク,ストレージなどを仮想化する技術「Virtualization Engine」を搭載したサーバーとストレージを年内に出荷する。同社が米国時間4月28日に発表した。同技術をサーバー製品に搭載することにより,メインフレームのような振る舞いをするサーバーを低価格で実現できるようになるという。また,IBMシステムと他社のシステムが混在する環境において,管理を容易にするサービスの提供も発表している。

 同社によれば,Virtualization Engineは,40年に渡り同社がメインフレーム部門で蓄積した技術と3年間の研究開発によって実現した。同社は,「ユーザーがサーバー,ストレージを活用するうえで効率,安全性,経費を改善する手段として,同技術が業界の新しい標準になる」としている。

 同技術では,メインフレーム技術以外にも,同社はTivoliの基本的なプロビジョニングと管理ツール,WebSphere実行環境のオープン・グリッド機能を採用する。

 Virtualization Engineは,いくつかの仮想マシンを構築することにより,1基のプロセサがワークロードを均等に分配する。同技術は,メインフレーム市場では数十年前から存在していた。同社は,メインフレームの「micro-partitioning」技術を初めて他のIBM製品に拡張した。UNIXとその他のサーバー・システムで,ユーザーは,マイクロプロセサ1基につき,最大10のサーバーを実行できる。そのため,4ウェイのシステムを40ウェイのシステムのように扱えるようになる。

 同社は,Virtualization Engineの一部として,新しい包括的なシステム・サービスも発表している。IBMシステムと他社システムの管理を容易にするアプローチを提供しており,1人で管理できるシステムの数と種類を格段に増やすことが可能になる。Tivoliのプロビジョニング技術も提供されるため,ユーザーは,新しい要求に合わせて数分で新しいサーバーの追加,またはプロビジョンができるようになるという。

 IBM社は,サーバーとストレージ製品において,Virtualization Engine技術とサービスの提供する。最初に同技術を搭載する製品は「iSeries」。第2四半期に出荷が予定されている。

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