米Microsoftが,ドイツのアーヘンに研究センター「European Microsoft Innovation Centre(EMIC)」を正式に開設した。Microsoft社が現地時間4月26日に発表したもの。「欧州における共同の応用研究開発の中心的施設となる」(Microsoft社)としている。

 EMICに所属するMicrosoft社の科学者とエンジニアは,業界パートナや学術機関と協力し,欧州委員会(EC)や欧州各国の政府などが援助する応用研究プロジェクトに参加する。現在のスタッフは12人で,数カ月以内に20人に増員する予定。

 EMICは,2010年までに最も競争力のあるナレッジ・ベースの経済圏を目指すECの戦略「リスボン・アジェンダ」に向けた支援の一環として建設された。Microsoft社EMEA事業CEOのJean-Philippe Courtois氏は,「欧州の公共機関や民間企業とともに,共通の目的に向かって協力する機会を得られてうれしい。EMICは,欧州全域,各国,各地方のための研究開発に貢献したいという当社の情熱と希望を示すものだ」と説明した。

 EMICの応用研究では,主に「Webサービス」「セキュリティおよびプライバシ技術」「無線技術」の3分野に取り組み,企業コンピューティングや組み込み機器などのプラットフォームに焦点を当てる。Microsoft社は,欧州の技術パートナ企業,大学,政府機関と技術の専門知識を相互提供し,「強力な関係を築きあげる」(Microsoft社)。

 EMICはすでに,ECが資金援助する一部のプロジェクトに参加しているという。主な内容は以下の通り。

・「Cocoon」プロジェクト。ナレッジ・ベースの医療システム構築とリスク管理のツール・セット開発を目的とする

・「European Learning Grid Infrastructure(E-LeGI)」プロジェクト。Webサービスを用いた効果的な高機能学習ソフトウエア・ソリューションの開発を目指す

・「TrustCom」プロジェクト。組織間の有意義な関係を構築するための,セキュリティ技術を組み込んだインフラ開発を目的とする

・「FIDIS」プロジェクト。ID管理の標準規格やベスト・プラクティスの策定を推進する。関連する研究,法規やICT(情報通信技術)での応用などを検討する

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