次世代インターネット研究開発コンソーシアムの米Internet2は,転送速度コンテスト「Internet2 Land Speed Record」(I2-LSR)において,新記録が達成されたことを明らかにした。同団体がメンバー会議「Spring 2004 Internet2」にて米国時間4月20日に発表した。

 米カリフォルニア工科大学(Caltech)とCERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)の共同研究チームは,同コンテストにおいて米カリフォルニア州ロサンゼルスからスイスのジュネーブ間,およそ1万1000キロ間で平均6.25Gビット/秒の転送速度を達成した。データ転送には,IPv4プロトコルが利用された。この速度は,一般的な家庭向けブロードバンド接続のおよそ1万倍に相当する。同チームは,これ以前にIPv6プロトコルを利用した同距離の通信で4Gビット/秒の新記録も達成していた。

 Internet2は,全米の200を超える大学が参加して,企業,政府機関と共同で次世代インターネットを開発するのプロジェクト。2000年に始まった同コンテストは,エンド・ツー・エンドのインターネット・プロトコル・ネットワークにおいて転送速度を競うもの。

 米エネルギー省が実施した調査によれば,高エネルギー物理学,宇宙物理学,核融合エネルギー,気象学,生命情報学といった部門の研究者は,10年以内にテラビット/秒のネットワークが必要になるという。高帯域幅の通信は,大容量のデータの転送が必要とされる研究コミュニティにとっては重要であり,すでに多くのグループが,研究者が大容量のデータを共有できるように研究機関と研究所を接続する高速グリッドの開発を始めている。

 CERNとパートナは,Large Hadron Collider(LHC)コンピューティング・グリッドと呼ばれるネットワークの構築を開始している。Caltechも米スーパーコンピューティング・アプリケーション・センター(NCSA),サンディエゴ・スーパーコンピュータ・センター(SDSC),米アルゴンヌ米国立研究所,同大学の高度コンピューティング研究所(CACR)などを接続する「TeraGrid」スーパーコンピューティング・ネットワークの構築に参加している。

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