米IDCは米国時間4月19日,スパム・メールについて調査した結果を発表した。それによると,2003年に,北米で1日当たりに送信された電子メール全体のうち,スパム・メールが占める割合は32%に達した。2001年から約2倍に増加している。

 調査は,北米におけるさまざまな規模の企業で,中間および上級管理職などを務める1000人と,1000人以上の社員を擁する企業のIT上級管理職30人を対象にアンケートを実施したもの。

 IDC,Collaborative Computing部門リサーチ担当副社長のMark Levitt氏は,「スパム・メールは単なる迷惑を通り越して,企業の生産性低下を招き,法的責任を問う事態にまで発展している。不要で不愉快な内容のスパム・メールが,ネットワーク,サーバー,受信箱の貴重な容量を占有しており,今後その数が増えるにつれ,企業に与える影響も一層深刻になるだろう」と述べた。

 大企業の場合,スパム・メールによる損害は100万ドル単位にのぼるという。回答者の多くは,今後2年間にスパム・メールの数がさら増えると懸念している。また回答者は,スパム・メールの問題解決に政府による法規制が,「ほとんど」もしくは「まったく貢献していない」と感じている。

 IDCによると,企業はスパム防止技術を利用することでROI(投資回収)を実現し,スパム・メールによる生産性の低下を防ぐことができるという。「過去1年間にスパム防止技術を利用する企業が急増している」(同社)


■スパム防止技術の利用によるコスト削減
(電子メール・ユーザー5000人を擁する企業の場合)

スパム防止技術を スパム防止技術を
利用しない場合 利用した場合

電子メール・ユーザーが
スパム・メールに費やす 10分 5分
1日当たりの平均時間

企業の1年当たりの
(発生コスト)削減コスト (410万ドル) 78万3000ドル

ITスタッフが
スパム・メールに費やす 43分 19分
1日当たりの平均時間

企業の1年当たりの
(発生コスト)削減コスト (8万5800ドル) 1万3000ドル

記:発生コストと削減コストは生産性関連のものに限定

出典:IDC(2004年)

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