米Open Source Risk Management(OSRM)は米国時間4月19日に,Linuxを利用している顧客が著作権侵害で提訴された場合の訴訟費用を負担する保険型サービスの提供について明らかにした。

 同サービスの保険料は,最大補償額の約3%。例えば100万ドルの費用負担を補償する場合,毎年の保険料支払いは3万ドルとなる。

 同社によると,半年間にわたり,Linuxカーネル内の各ソフトウエア・ファイルを調査し,そのオリジナルをたどった結果,「Linuxカーネルのバージョン2.4および2.6には,著作権侵害に該当するものが見つからなかった」(OSRM社)という。今回発表した保険型サービスは,これらのバージョンのLinuxを利用する顧客に向けて提供する。

 「米SCO Groupが起こしているような訴訟の正当性が認められる可能性は低い。しかし,提訴されたLinuxユーザーにとって,莫大な時間と費用をかけなければならないことが大きな問題だ。これはソフトウエアに原因があるわけではない。くだらない主張で裁判を起こして利益を得ようとする試みに対し,統合的な防御を講じることが必要だ」(OSRM社)

 また同社は同日,Open Source Legal Defense Centerと呼ぶ組織を開設すると発表した。オープンソースのユーザーおよび開発者に対し,ソフトウェア知的財産(IP)法の専門家が,法的な防御を提供する。ワシントンD.C.に本拠を置き,SCOによる訴訟の標的となりうるユーザーた,Linuxカーネルの貢献者に対する会員制サービスを提供するという。

 同社は,オープンソース利用企業向けの法的リスク診断サービスを3月17日に発表している。同サービスは,同社のコード・スキャン技術を用いて顧客のコード・ベースを審査し,訴訟の対象になりうる部分を検出するもの。その後,Linuxを利用しているFortune 500企業のCIOや顧問弁護士が参加するOSRM社作業グループが策定したベスト・プラクティスをもとに,コンサルティング・サービスを提供する。

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