米Apple Computerが,Mac OS X対応のSANファイル・システム「Xsan」を米国時間4月18日に発表した。Apple社の「Xserve」や「Xserve RAID」などのハードウエアと対応ソフトウエアを組み合わせて実現するシステム。

 Xsanは,Mac OS X用の64ビット・クラスタ・ファイル・システム。「企業などでは,ストレージ・リソースを集約し,ファイバ・チャネル経由で複数のコンピュータからファイルを読み書きできるようになる」(同社)

 最大64人のユーザーが,単一のストレージ・ボリューム上にあるビデオ・ファイルを同時にアクセスできる。複数の広帯域ビデオ・ストリーミング接続が可能なので,映像やオーディオの編集や加工,動画制作作業の効率が向上するという。

 「Xsanにより,プロ・ビデオ編集者など当社の顧客は,Mac OS X上で低価格/高性能なSANファイル・システムを利用できるようになる。強力なエンド・ツー・エンドのSANソリューションであり,利用時の手間が少ない。さらに余計な経費は不要で,価格は米Avid Technology,米IBM,米Silicon Graphics(SGI)の製品の半分以下」(Apple社ワールドワイド製品マーケティング担当副社長のPhilip Schiller氏)

 Xsanのそのほかの主な特徴は以下の通り。

・メタデータ・コントローラ・フェイルオーバとファイバ・チャネル・マルチパッシング機能により,高可用性を実現

・ファイル・レベルのロック機能で,複数のシステムから同一ボリュームに同時読み書き可能

・帯域幅予約機能により,高精細ビデオなど多くの帯域を消費するデータ・ストリームを効率的に処理

・クオータとアクセス制御機能を備え,ユーザーのストレージ利用やファイル・アクセスに制限を設けることでセキュリティを確保。

 米ADIC Softwareの「StorNext File System」と組み合わせて使用でき,Windows/UNIX/Linuxサーバーが動作する環境でも機能する。さらに,ADIC社のデータ管理ソフトウエア「StorNext Management Suite」にも対応してる。

 Xsanの対応ハードウエアは,Xserve G4/G5,「Power Mac G4/G5」,Xserve RAID,「Apple Fibre Channel」PCIカード。動作にあたっては,Mac OS XまたはMac OS X Server v.10.3が必要。米Brocade Communications,米QLogic,米Emulexなどのファイバ・チャネル・スイッチの利用が可能。

 Apple社は,Xsanベータ版の一部顧客向け配布を直ちにWebサイトで開始する。製品版の発売は,2004年秋の予定。価格は1システム当たり999ドル。

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