米In-Stat/MDRは,固定電話と携帯電話間で同一番号を保持できる番号ポータビリティ制度(LNP:Local Number Portability)施行による消費者の動向について調査した結果を,米国時間4月13日に発表した。2003年11月に同制度が施行されてから数カ月は,予想に反して,事業者の乗り換えがあまりなかったという。

 In-Stat/MDR社によると,施行直後は,技術的な問題によって事業者間における電話番号の引き継ぎがスムーズに進まないことが多く,また,契約途中で事業者を変更するとキャンセル料が発生することもあり,ユーザーは事業者の乗り換えを先延ばしにしたようだ。

 In-Stat/MDR社Wireless部門主席アナリストのBecky Diercks氏は,「業界ではLNP施行直後に,事業者を変更するユーザーが劇的に増えるという見方が一般的だったため,思いがけない展開となった。しかし技術的な問題はほぼ解決されており,既存の契約が期限を迎える利用者も増えている。今年,事業者の乗り換えが急増するのは必至だ」と述べた。

 また同氏は,「LNP導入により一部の事業者では解約率が高まることが予測されていたが,最もユーザーの流出が多い事業者の1社に米AT&T Wirelessが入ったことは意外だった」と付け加えた。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・LNPが施行されてから数カ月は,消費者による事業者乗り換えが,企業のそれを上回った。しかし今後数カ月間は,企業による事業者変更が増加する

・携帯電話ユーザー1000人以上を対象に調査したところ,LNP施行後に事業者を変更したユーザーは5%(そのうち,同じ番号の利用を希望したユーザーは63%)。今後3カ月間に事業者を変更予定のユーザーは7%(そのうち,同じ番号の利用を希望するというユーザーは50%以上)

・米T-Mobileのユーザーの11%が,LNP施行後1カ月間以内に別の事業者に乗り換えている。米 Cingularの場合は8%

・AT&T Wireless社のユーザーの14%が,今後3カ月間に別の事業者に移ることを考えている

・事業者の乗り換えを予定しているユーザーの多くは,現在利用している事業者がサービス料金を引き下げれば,乗り換えを見直すと回答した

・顧客の満足度が最も高い事業者は米Verizon Wireless

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