米Intelが,XScale技術ベースの携帯機器向け新型プロセサ製品系列「Intel PXA27x」(開発コード名はBulverde)と,同製品系列用のマルチメディア・アクセラレータ「Intel 2700G」を台湾で現地時間4月12日に発表した。PXA27xについて,Intel社は「フル・モーションの動画会議を携帯電話機で実現したり,DVD画質のビデオ再生をPDAで行ったりするのに十分な処理能力を備え,さまざまな無線ブロードバンド接続に対応したプロセサ」と説明する。

 PXA27xは,動作周波数312MHz~624MHzの製品を用意する。最大64Mバイトのフラッシュ・メモリー「Intel StrataFlash」を積層できる。「Intel Wireless MMX」技術を初めて組み込んだ初めての製品であり,プロセサの動作電圧と周波数を制御することで消費電力を削減する「Wireless Intel SpeedStep」技術も採用した。

 ブート処理時のセキュリティ確保,保存した情報と暗号鍵の保護,各種セキュリティ・プロトコルの利用などを可能とする「Intel Wireless Trusted Platform」にも初めて対応した。また,最大400万画素以上のカメラを使うことのできる「Intel Quick Capture」技術も採用している。

 一方2700Gは,PXA27x用に最適化したマルチメディア・アクセラレータ。DVD画質のビデオ再生をVGAサイズ(640×480ピクセル)で処理できる。対応ビデオ形式は,MPEG-2,MPEG-4,Microsoft Windows Media Video9など。そのうえ,最大SXVGA(1280×960ピクセル)のディスプレイ2台に画像を同時表示できるので,携帯電話機によるビデオ会議や,PDAを使ったプレゼンテーションの制御といった応用が考えられる。

 PXA27xプロセサ・ベースのプラットフォームは,GSM/GPRS,Wi-Fi(IEEE802.11b),Bluetoothなど複数の無線ネットワークに対応可能。米Microsoftや米PalmSource,英Symbian製のOSに加え,米MontaVista Software製LinuxやJava環境も利用できる。

 Intel社は,PXA27xと2700Gを搭載したPDAタイプの参照プラットフォームをカナダのIntrinsyc Softwareと共同開発した。さらに,「Intel Compiler」「Intel Integrated Performance Primitives」を用意するとともに,ドライバと電力管理ソフトウエアを同梱したボード・サポート・パッケージも提供する。

 PXA27x製品系列は,同日よりサンプル品を利用可能とする。量産品は2004年第2四半期中にリリースする予定。動作周波数312MHzのPXA270は,1万個ロット時の希望単価が32ドル。2700Gの1万個ロット時の希望単価は17ドル。

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