「米国企業経営者の大多数は,事業戦略の遂行と達成のためにITが中心的役割を担うと考えている」。米IDCは米国時間4月7日に,企業のITに関する取り組みについて調査した結果を発表した。米国企業の上級幹部は活動時間の20%をIT問題に費やしており,今後さらに多くの時間を割り当てる意向だ。企業経営者の過半数が「自社は事業戦略にもっと積極的に技術を取り入れるべき」と考えていることから,この傾向が続くとIDC社はみている。

 IDCのResearch部門上級バイス・プレジデントを務めるFrank Gens氏は,「経営者が技術の取り組みに割く時間が増えていることは,『ITは重要』という考え方を支持するものだ」と説明した。

 IDC社は,2004年の世界IT支出が5%増えると予測する。経済が回復しつつあり,低迷期に先送りしていたインフラ問題に取り組む必要性があるためだ。エンド・ユーザーを対象にした同社の調査では,過去9カ月間で,IT予算増額の可能性が約15%増えたという。また,2003年第4四半期における企業のIT投資は約16%増加した。

 ただし,「ほとんどのCEOは景気回復に対して慎重な態度を崩さず,事業の最重要課題の克服に焦点を当てる。このような環境で,意思決定者は今後もコストを意識し,大型購入の判断を下そうとしないだろう」(IDC,Global Research Organization部門リサーチ・ディレクタのStephen Minton氏)

 2004年にIT予算増額の対象となる分野は,パソコン,サーバー,インフラ・ソフトウエアなどだ。いずれセキュリティやモバイルの予算も拡大する。ほとんどのIT部門は引き続きインフラ向上に力を入れるが,コスト節約や新規顧客獲得での技術利用も重視しつつある。

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