米IBM，新型メインフレーム「z890」や強化版「z990」などを発表

2004.04.08

　米IBMは，中規模企業向けの新型メインフレーム「IBM eServer zSeries 890」と強化版「IBM eServer zSeries 990」を米国時間4月7日に発表した。さらにIBM社は，ストレージ製品「IBM TotalStorage Enterprise Storage Server 750（ESS Model 750）」についても明らかにした。

　z890について，同社は「z990の技術をベースとする機種で，柔軟性，仮想化，自動化，セキュリティ，拡張性に優れている」と説明する。z890と現行のz800をそれぞれ最高クラスのモデル同士で比べると，z890の方が100％近くプロセサの処理容量が多いという。大きさの面では，それぞれ最小サイズのモデルを比較した場合，z890が30％以上z800より小さい。

　「z890の1モデルで28種類の容量を用意する。これにより，顧客はそれぞれの必要性に応じてより適した能力を持つサーバーを選べる」（同社）

　z890と強化版z990のそのほかの特徴は以下の通り。

・zSeries Application Assist Processor（zAAP）：
　WebアプリケーションをzSeriesサーバー上で動作させるための新プロセサ。z/OS用のJava実行環境を提供し，同一サーバー・プラットフォーム上でJavaベースのWebアプリケーションを既存の中核業務アプリケーション／データと統合できる。同プロセサは6月に利用可能とする。価格は12万5000ドル。

・On／Off Capacity on Demand（CoD）：
　処理容量のオン／オフをオンデマンドで切り替えるOn／Off CoD機能を拡張し，Integrated Coupling FacilitiesとzAAPに対応させた。

・インフラの簡素化：
　OSA Express Integrated Console Controllerにより，一部の周辺機器を使う必要がなくなり，最大120個のコンソール・セッション接続が可能となる。

・ネットワークの改善：
　強化版z990は，最大4つの論理チャネル・サブシステムと最大1024個のI／Oチャネルに対応できるようになったほか，ネットワーク接続性が向上した。

　一方，ESS Model 750は中規模企業向けのストレージ・サーバーで，「少なめの容量で低価格の製品を必要とする顧客に向けた製品」（同社）。記憶容量は1.1Tバイト～4.4Tバイト。運用を中断することなく拡張可能。20種類上の自動化機能を備えており，メインフレーム・ジョブの並列実行や，キュー管理をサーバーからESSに移管することができる。複数論理ボリュームの同時アクセスや，各種コピー・サービス機能による事業継続性の確保といった特徴もある。

　z890と強化版z990は5月28日に，ESS Model 750は5月に利用可能とする。ESS Model 750の小売価格は「従来製品のエントリ・モデルより40％程度安い」（同社）約12万5000ドルと見込む。同社はz890と強化版z990の価格を明らかにしていないが，「z890の値段付けはESS Model 750と同様の考え方で行い，強化版z990は従来製品より低い価格になる」としている。

　米メディアの報道（InformationWeek）によると，z890の価格は，演算速度が26 MIPSのエントリ・モデルで約20万ドルという。

　またIBM社は，2004年9月にリリースする予定の新版OS「z／OS 1.6」を紹介した。「zAAP対応，Webアプリケーション用負荷管理機能の改善，IPネットワーク機能の強化など，z／OS環境でJavaの処理を容易にする機能強化を施した」（同社）という。さらに新版では，C／C++およびJava SDK用の64ビット・アプリケーション環境の提供も計画している。

　なお，zAAPの各種機能を活用するにはz／OS 1.6が必要となる。