米IBMは米国時間3月30日,自動車/航空機メーカー向けのグリッド・コンピューティング製品を発表するとともに,同社製グリッド・コンピューティング・システムがカナダのMAGNA STEYRに導入されたことも明らかにした。「設計分析作業を高速化することで製品期間の短縮や品質の向上につながる」(IBM社)とする。

 MAGNA STEYR社は,ニッチ市場向け自動車や4輪駆動車用の部品を製造する企業。衝突実験の解析などに同システムを利用している。IBM社は,フランスDassault Systemesの3次元CAD/CAM/CAEシステム「CATIA」をグリッド対応化した上で,カナダPlatform ComputingとともにMAGNA STEYR社のグリッド・システム導入を行った。「同システムにより,それまで数日かかっていた自動車1台分の部品を分析する作業が一晩で済むようになった」(IBM社)という。

 「IBM社とPlatform Computing社のグリッド技術を導入したことで,衝突実験にかかる時間を72時間から4時間に短縮できた。さらに,設計品質の向上にも大きく貢献した」(MAGNA STEYR社のHeinz Mayer氏)

 IBM社は,フランスCetim,フランスFrench Petroleum Institute,オムロンにおいてもグリッド・システムの導入作業を進めているという。

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