米Intelと米Intergraphは,テキサス州マーシャルの連邦地裁で進められていた特許侵害訴訟について,和解に達した。Intel社が米国時間3月30日に明らかにしたもの。和解条件のもと,両社は訴えを取り下げ,Intel社がIntergraph社に2億2500万ドルを支払う。

 Intel社は4月5日までに1億2500万ドルを支払い,その後,四半期ごとに2500万ドルを4回支払う。

 両社の係争は,1997年11月17日にIntergraph社がIntel社を不法行為,特許侵害,独禁法違反の3点で提訴したことに始まる。Intel社は,RISCチップ「Clipper」の開発元Fairchild Semiconductor社をIntergraph社とともに買収した米National Semiconductor(NS)とクロスライセンス契約を1987年に結んでいた。このクロスライセンス契約をもとにIntel社は,「Clipperの特許もNS社との契約に含まれている」と主張した。また,Intergraph社はClipperを開発したFairchild社Advanced Processor部門を買収している。

 1999年6月にアラバマ州北地区連邦地裁のEdwin Nelson判事は,「Intel社とNS社のクロスライセンス契約には子会社は含まれておらず,Intel社はFairchild社の合意がなければClipperの特許ライセンスを得られない」として,「Intel社は特許を使う権利をもたない」との判断を示した。

 しかし,同年10月の裁判では一転して「特許権を管理しているのは米National Semiconductor(NS)であり,Intel社は1976年にNS社とのクロスライセンス契約によって特許の使用権を得た。よって,Intel社はIntergraph社の特許を使う権利をもつ」(同判事)として,判断が完全に覆った格好となっていた。

 この判決を受けてIntergraph社が上訴し,2001年3月の裁判ではアラバマ州の連邦控訴裁判所が「Clipperの特許については,全ての権利をIntergraph社が独占的に所有する。Intel社はこれを使用する権利を持たない」と,再び判断を覆した。

 両社は2002年4月に,アラバマ州の訴訟について和解を表明し,Intel社が和解金3億ドルを支払うことで決着した。

 今回,テキサス州での訴訟が和解に達したことで,両社間で争われていたすべての係争に終止符が打たれる。Intergraph社は,Intel社製マイクロプロセサ,チップセット,マザーボードを組み合わせて採用しているIntel社の顧客を提訴しないことを約束したという。それにともない,Intergraph社は米Dellに対する訴訟を取り下げ,Intergraph社が所有する特許のライセンスをDell社が取得することを認める。なお,Intel社とDell社は免責契約を結んでいるため,Dell社はIntel社に対し,Intergraph社による訴訟の費用負担をIntel社に求めていた。

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