米Oracleが,無線ICタグ(RFID)システムの導入や運用を支援する総合的なサービス「Oracle Sensor-Based Services」を米国時間3月30日に発表した。RFIDなどのセンサーから取得した情報を迅速かつ容易に企業システムに組み込み,業務プロセスの自動化/最適化,リスク削減,投資回収率(ROI)向上が実現できるという。

 「RFIDは特別なインフラを構築する際にコストや手間がかかり,その影響で,RFIDソリューション導入によって得られるはずの営業支出削減や見通しの良いサプライ・チェーン実現といったメリットが失われる」(Oracle社)。Oracle Sensor-Based Servicesは「Oracle Database 10g」「Oracle Application Server 10g」「Oracle Enterprise Manager 10g」「Oracle E-Business Suite 11i」などを組み合わせて包括的なRFID対応機能を提供するため,導入に関わるコストとリスクを最小限に抑えられるという。

 同社では,RFID導入過程のさまざまな段階に合わせ,複数のオプションを用意する。各オプションの概要は以下の通り。

・「Compliance Assistance Package」:
 米Wal-Mart Stores,米国防総省,ドイツのMetro,米Targetなどが求めるRFID規定の遵守を支援するパッケージ。

・「RFID Pilot Kit」:
 RFIDシステムなどを開発/試験するためのツール・キット。各種RFIDリーダー用ドライバ,レポーティング・ツール,ビジネス・インテリジェンス・ツールなどを提供する。

・「Enterprise Deployment」:
 RFIDシステム運用を小さな規模の試験導入から開始し,最終的に同社のグリッド・コンピューティング・インフラを使って導入範囲を広げるための技術とアプリケーションを提供する。

・「Sensor-Centric Applications」:
 Oracle E-Business Suiteにより,RFIDからの情報を使って業務プロセスの変革/自動化を支援。在庫資源管理ソフトウエア「Oracle Warehouse Management」の次版にRFID機能を搭載する。さらに,Oracle E-Business Suite用モジュールも,将来RFID対応化する予定。

 さらに同社は,米BearingPoint,フランスのCap Gemini Ernst & Young,Tata Consultancy Services社などのシステム・インテグレータ/コンサルタント企業の協力を得て,RFIDソリューションの提供を図るとしている。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,現在Oracle Sensor-Based Servicesはベータ版の状態にあり,米DHL Worldwide Expressなどの企業が試験的に導入しているという。Application Server 10gの次版で利用可能となり,現ユーザーにはアップグレード・サービスを提供する。

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