米Macromediaが,プレゼンテーション・サーバー/アプリケーション用フレームワーク「Macromedia Flex」を米国時間3月29日に発表した。Macromedia社は,「Flexを利用すると,標準的なプログラミング手法を使ってデスクトップ・ソフトウエア並みのユーザー・インタフェース(UI)をWWWアプリケーションに組み込み,『Macromedia Flash Player』上で動かせる」としている。

 WWWアプリケーションのUIについて,Macromedia社上級副社長のDavid Mendels氏は「HTMLで作れるUIに制約があることはよく知られているものの,企業の開発チームが利用できる代替策はこれまで存在しなかった」と述べる。「Flexは,企業におけるアプリケーション開発にルネッサンスをもたらす」(同氏)

 企業では,多彩なデータ表示,オンラインの製品選択/設定ツール,顧客向けセルフ・サービスなどの機能を持ったアプリケーションを使う。この種のアプリケーションは,さまざまな表示,迅速なフィードバック,ローカル環境処理を行う複数の手順を組み合わせることで,全体の機能を実現する。ただし,「HTMLでこうした機能を提供するのは不可能」(同社)。

 Flexは,Scalable Vector Graphics(SVG),Cascading Style Sheets(CSS),XML,SOAPといった標準仕様を採用し,構築済みのコンポーネント,効果,動作,レイアウト・マネージャによるクラス・ライブラリを備える。ユーザーがライブラリを拡張したり変更したりすることで,「使い勝手の良いUIを作れる」(同社)。オープンなツールに対応しているので,任意のテキスト・エディタや統合開発環境(IDE)でFlex用アプリケーションを作成できるという。

 IBM WebSphere,BEA WebLogic,Macromedia JRun,Apache TomcatなどのJavaアプリケーション・サーバー上で動作する。Microsoft .NETサーバー対応Flexは現在ベータ版で,出荷開始は2004年後半の予定。また同社は,WebSphere Studio Application Developer開発環境向けFlexプラグインの開発を米IBMと共同で進めている。

 Flexの価格は,2プロセサ構成のサーバー1台当たり1万2000ドルから。教育機関向け,政府機関向け,ボリューム・ライセンス向けの特別価格も用意する。同社はFlexの試用版提供やFlexで作成したアプリケーションの紹介を,WWWサイトで行っている。

 さらに同社は,Flex用の開発ツール「Brady」(開発コード名)を2004年後半にリリースする計画についても明らかにした。BradyはWWWサイト/アプリケーション構築ツール「Dreamweaver MX 2004」をベースとし,レイアウト作成,コード編集,デバッグ,データ修正などの機能を提供する。

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