米IBMは,ニューヨーク州立大学のバイオインフォマティクス研究センターであるUniversity at Buffalo(UB)Center of Excellenceが「IBM eServer BladeCenter HS20」ベースのスーパーコンピュータ・システムを導入すると,米国時間3月25日に発表した。266台のeServer BladeCenter HS20をクラスタ化し,最高1.32テラFLOPS以上の演算性能を実現するという。

 各eServer BladeCenter HS20には,動作周波数2.8GHzのXeonプロセサ2個と,1.0Gバイトのメモリーを搭載する。OSはRed Hat Advance Server 2.1 Linux。さらに,5Tバイトの容量を持つストレージ・サーバー「IBM TotalStorage FAStT700」に7台の「IBM xSeries 345」サーバーを接続し,大量の研究データを保存できるようにする。

 現在UB Center of Excellenceでは,米Dellのサーバーと米EMCのストレージ・システムでクラスタを構築し,研究に利用している。「IBM社のシステムに切り替えると,演算速度が3倍以上に向上する。さらに,管理しやすくインフラも簡素化するので,死に至る病気の原因究明や治療薬開発といった研究活動に集中できるようになる」(UB Center of ExcellenceディレクタのJeffrey Skolnick氏)

 同センターはIBM社製システムを使い,人間の体を構成するタンパク質について構造や振る舞いを調べ,「がん,アルツハイマー,AIDS,多発性硬化症などの病気を治療する薬の開発を目指す」としている。

 IBM社はシステム構築のほか,同センターの研究活動を支援するため,タンパク質データのパターンや相関関係を見つけるアルゴリズムを提供するなどの協力も行う。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,UB Center of Excellenceは今後2年から3年かけて同システムの規模を約50倍に拡大し,プロセサ数2万5000個の構成にする計画を立てているという。

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