米Access Markets International Partners(AMI-Partners)はシンガポールで現地時間3月25日に,シンガポールにおける小企業のIT投資に関して調査した結果を発表した。世界的な不景気や,重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生などにも関わらず,過去12カ月間でシンガポールの小企業の売上高合計は6%増加し,ITおよび通信向け投資額は16億3000万ドルにのぼった。

 ITおよび通信向け投資の主要な項目はパソコンとネットワーク・ハードウエアの買い換えだが,パソコンを所有する企業の多くは,インターネット環境の構築に多額の支出を当てている。インターネットを利用することで,経営コストを削減し,コミュニケーションを向上しようと考えているためだ。

 シンガポールでパソコンを所有する小企業のうち42%は,過去12カ月の売上高が増加し,27%は売上高が減少した。「しかし,今後12カ月間の見通しは明るく,小企業の売上高は2ケタの成長率を達成するだろう」(AMI-Partners社上級アナリストのJackie Chan氏)。パソコンを所有する小企業の62%は今後12カ月間の売上高が伸びると見込んでおり,事業拡大のためにオフィスを新たに開設する計画を立てている。また53%は,新たなオフィスに平均2人を置く予定だ。パソコンを所有する小企業の従業員は23%増大することになる。

 シンガポールの小企業は,2003年に無線接続関連(無線LAN,VPN,WANなど)に約6億ドルを投じた。小企業の60%近くが,毎月4~5日以上出張する社員を平均2人抱えている。つまり,約11万5000人の社員が,会社から離れた場所でも生産性を維持しなければならない。こうした状況に加え,オフィス新設計画があることから,小企業は,遠隔地の社員が効率的にやりとりし,オフィス間の移動や社員の配置換えを簡単に管理するためのソリューションを求めている。

 現在,LANを構築している3万500社の小企業のうち,4分の1が無線LANを導入している。今後12カ月で半数が無線LANを装備するようになる見通しだ。また,現在1万1000社以上の小企業がVPNを実装しており,7万6000社以上がWAN経由で接続を行っている。

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