米Texas Instrumentsは,65ナノメートル(nm)の製造技術を用いた携帯電話向けチップを2005年第1四半期にサンプル出荷する。TI社が米国時間3月22日に,65nm製造技術の詳細について明らかにしたもの。「当社の65nm技術は,90nm技術を用いた製品と同等の機能を半分のサイズで実現できる上,トランジスタ性能を40%向上する」(TI社)としている。

 TI社によれば,同社の新技術により,非動作時におけるトランジスタのリーク電流を従来技術の1000分の1に低減しつつ,アナログとデジタルの両方に対応した数億個のトランジスタをシステム・オン・チップ(SoC)に集積できるという。

 マルチメディア機能や高性能デジタル機能を携帯電話などに搭載する場合,低消費電力設計が非常に重要となる。バッテリ寿命やプロセサの発熱といった問題があるからだ。これらの課題を克服するために,TI社は無線アプリケーション用チップに,65nmノードに対応した動的な電源管理技術「SmartReflex」を組み込む。SmartReflexは,ユーザーの要求に応じて自動的に供給電圧を変え,TI社の「OMAP」アプリケーション・プロセサなどのデバイスの電力消費を制御する。SmartReflexで回路の速度を監視することにより,「システムの性能を落とすことなく,性能要求に応じた電圧供給を調整できる」(TI社)

 そのほか,待ち受けモードの際にトランジスタの電力損失を抑える技術,SRAMメモリー・ブロックのバック・バイアス機能,ロジックを書き換えることなく電圧を大幅に低下させるフリップフロップ回路などを備える。

 TI社の65nm製造技術は200および300mmウエーハの両方に対応する。2005年後半に量産体制に入る予定。

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