独SAP,無線ICタグ対応などを強化したアプリ統合ツール新版NetWeaver 2004を発表

 ドイツのSAPが,アプリケーション統合プラットフォームの新版「SAP NetWeaver 2004」を米国とドイツで現地時間3月18日に発表した。

 NetWeaverは,同社の全ソリューションに対応するプラットフォーム。2003年1月に提供を開始した。特定ベンダーに対する依存性がなく,各種業界標準に対応しているため,同社製および他社製システムを容易に統合できるという。SAP社では「単一技術をベースとしているので,複数の技術戦略を進める場合にぶつかる統合コストの問題を回避できる」と説明する。

 新版の主な強化点は以下の通り。

・ビジネス・インテリジェンス(BI)を提供する「SAP BI」用として,ビジネス・プランニング/シミュレーション,Business Explorer(BEx)Broadcaster,XML for Analysis(XMLA)インタフェース,Java SDK,ほかのNetWeaverコンポーネントとの統合,といった新機能を導入。

・Unicodeを使って20言語以上でポータルを展開できるよう「SAP EP」を強化。WindowsおよびUNIXの両OSに対応。

・同社製ソリューションで無線ICタグ(RFID)データの入力に対応。「SAP Auto-ID Infrastructure」により,RFID用ハードウエアとのやり取りを自動化。

・「SAP XI」の内蔵ビジネス・プロセス・エンジンにより,NetWeaverでビジネス・プロセス管理(BPM)の利用が可能に。SAP XIは,J2EE Connector Architectureベースのアダプタ・フレームワークも備えており,リソース・アダプタの展開も可能。

・WWWアプリケーション・サーバー「SAP Web AS」により,拡張性に優れた取引フォームを作成できる。

・「SAP MI」については,認証機能,アラート・インフラ,開発/デバッグ機能を強化し,モバイル対応とした。

・マスター・データ管理(MDM)機能「SAP MDM」により,さまざまなアプリケーション間でデータの同期や調整を行える。

・複合アプリケーションの迅速な開発を可能とする「SAP Composite Application Framework」。

 また同社は同日,米Visa Internationalとの提携についても明らかにした。これにより両社は,NetWeaverにVisa社の標準データ・セットVisa Commercial Format(VCF)を組み込む。「当社製ERPシステムとVisa社の製品/サービスを組み合わせることで,決済データなどの配信が行いやすくなる」(SAP社)

◎関連記事
独SAP,.NETおよびWebSphere対応のアプリ統合プラットフォームを発表
独SAP,中小規模メーカー向け「mySAP All-in-One」などを拡充
戦略的ITプランを持たない企業が60%,経営戦略との連携を欠く企業が大半
「米Microsoftへの過剰な依存を,多くの中小企業が懸念」--米調査
「2004年のIT支出は中小企業を中心に回復,ただし大企業はいまだ消極的」,米調査
「企業はSCM導入に手を焼いており,活用は不十分」,米企業の調査
「企業の85%が2004年末までにBPMに取り組む予定」,米META Groupの調査
ERPプロジェクトは“導入後”が本番

[発表資料へ]