米IBMは「IntelliStation A Pro」製品系列のワークステーションに米AMDの64ビット・プロセサ「Opteron」を搭載する。AMD社が米国時間3月16日に明らかにしたもの。「Opteronを搭載することで,CAD,CAE,原油探索/生産,製薬,デジタル・コンテンツ製作,金融分析など大量のリソースを必要とするアプリケーションに対応できる」(IBM社IntelliStation製品担当ディレクタのBob Lenard氏)

 Opteronはサーバー/ワークステーション向けのプロセサで,x86命令セット・アーキテクチャ(ISA)を64ビットに拡張したAMD64と呼ばれるアーキテクチャを採用する。業界標準であるx86 ISAベースのアプリケーションを実行できるので,x86アーキテクチャと互換性のある64ビット環境の構築が可能。「32ビット・ソフトウエアを高速実行できると同時に,64ビット・アプリケーションへのスムーズな移行が実現する」(AMD社)

 メモリー・コントローラを内蔵することで,メモリー・アクセスに起因する遅延を減らしている。さらに,プロセサと各種LSI間を接続する汎用バス技術HyperTransportを採用してI/Oボトルネックの解消,帯域幅の拡大,遅延の低減を図り,全体的な処理性能を向上させたという。

 「AMD64アーキテクチャにより,当社の顧客は既存32ビット・アプリケーションに対する互換性や性能を損なうことなく,64ビット・コンピューティングの拡張性を手に入れられる」(Lenard氏)

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,IBM社はIntelliStation A Proの出荷開始を2004年5月に予定しているという。対応OSは米MicrosoftのWindows XPと米Red Hatの64ビット版Linux。ただし,64ビット版Windowsは現在開発段階にあるので,ユーザーは32ビット版で運用を開始し,後日アップグレードすることになる。IntelliStation A Proの価格は約2600ドルから。

 また,IntelliStation A Proに搭載可能なプロセサは,Opteron 244(動作周波数1.8GHz),同246(同2.0GHz),同248(同2.2GHz)の3種類という(米echWeb掲載記事)。

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