シンクタンクの米Ponemon Instituteは,プライバシ関連費用に関する調査結果を米国時間3月12日に発表した。それによると,企業のプライバシ保護に対する投資は,環境面や倫理面などの取り組みに対する投資と比べて非常に少ないことが明らかとなった。95%の企業は「環境プログラムの投資と比較すると,プライバシ関連費用の方が少ない」という。

 今回の調査は,米IBMの委託を受けたPonemon Institute社が,米国を拠点とする多国籍企業44社を対象に実施したもの。

 企業のプライバシ関連費用は年間あたり約50万~2200万ドルと幅があり,プライバシ保護の取り組み段階により異なる。初期(計画・設計段階),中期(開始・展開段階),後期(運用・保守段階)の3つに大別した場合,プライバシ関連費用の平均額は,初期段階の企業で約390万ドル,中期段階は600万ドル,後期段階は1400万ドル。ちなみに「調査対象となった44社の大半が初期段階だった」(Ponemon Institute社)

 プライバシ保護の取り組みは,段階が進むにつれて,従業員の研修,独立監査,Webサイト認証などのコストが増加する。後期段階にある企業は技術を用いてプライバシの管理やデータ管理の審査などを実施する傾向が高くなる。

 そのほかの主な調査結果は以下のとおり。

・業界別にみると,プライバシ関連費用が最も多いのは技術系企業で,最も少ないのは輸送およびサービス系の企業。金融サービスやヘルス・ケア関連企業は中程度

・企業の10%は,規定遵守の強化,あるいは事業リスクの軽減に直接影響を与えるプライバシ技術を利用している

・企業の大半は,今後1~3年のプライバシ関連費用が増加する見込み

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