米MCIは,2002年の財務諸表修正を提出したことを米国時間3月12日に発表した。修正により,2000年と2001年の税引き前利益は,これまでの報告より合計744億ドル減少する。

 財務諸表の修正では,経理記録を収集して再確認と訂正を行ったほか,1993年までさかのぼって主要な買収の記録を調査した。なおMCI社は,「今回の修正報告は現在の当社の経営や流動性には影響ない」としている。

 最も修正が大きかったのは無形資産,財産,工場,設備などの評価損と営業権償却による損失で,2000年と2001年合わせて598億ドル。買収先企業の資産再評価による損失が58億ドルにのぼった。また,接続費用を設備投資として不正に計上するなどして利益を水増ししていた分が88億ドルあった。

 なお,修正後の連結売上高は,2002年が322億ドル,2001年が377億ドル,2000年が393億ドル。修正後の純損失はそれぞれ,92億ドル,156億ドル,489億ドルとなる。

 MCI社執行バイス・プレジデント兼CFOのBob Blakely氏は,「米連邦破産法の保護から脱却するための最後の段階だ。当社の社員をはじめ,この作業に従事している人々に感謝する」と述べた。

 MCI社は引き続き2003年の財務報告について調査する。2004年4月には破産法保護のもとの再建を完了できるとみている。

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