日立製作所の米国法人Hitachi Global Storage Technologies(Hitachi GST)が,記憶容量400GバイトのAV機器向け3.5インチ型ハード・ディスク装置(HDD)「Deskstar 7K400」を米国時間3月10日に発表した。インタフェースはATAおよびSerial ATAで,「世界最大の記憶容量」(Hitachi GST社)という。現在同社は数量限定でDeskstar 7K400の出荷を行っている。

 同HDDについて,同社は「AV機器向けの業界標準Streaming Command Setを初めて採用した製品で,大容量デジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)用に設計した」と説明する。Streaming Command Setは,デジタル・ビデオ処理におけるストリーミング能力を強化するための機能。「同機能を採用したことで,DVR上でデジタル・ビデオ・コンテンツを保存/読み出しする際のHDDの動作を最適化できる」(同社)

 「DVRが主流になると,極めて大容量のHDDに対する必要性がこれまで以上に高まる。当社はDeskstar 7K400で家電品向け製品の幅を広げ,ハイ・エンド機器,なかでも注目を集める大容量DVR市場に対応できる体制を整えた」(Hitachi GST社3.5インチ型消費者/企業向けHDD担当ジェネラル・マネージャのJose Antelo氏)

 なおDeskstar 7K400には,通常のテレビ番組なら400時間,高精細テレビ(HDTV)なら45時間,デジタル音楽なら6500時間以上に相当するデータを保存できるという。

 そのほかの主な仕様は以下の通り。

・面記憶密度:最大617億ビット/平方インチ
・データ転送速度:最大757Mbps
・回転速度:7200rpm
・平均シーク時間:8.5ms
・平均待ち時間:4.17ms
・バッファ・サイズ:8Mバイト
・インタフェース:ATA-100,SATA(1.5Gbps)
・プラッタ数:5枚(アルミニウム製)
・ヘッド数:10個(GMRヘッド)
・耐衝撃性(非動作時):225G(2ms)
・騒音(アイドル時):3.1Bels
・消費電力(アイドル時):9.0W(ATA),9.6W(SATA)
・高さ:25.4mm
・その他:流体軸受けスピンドル・モーター

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,現時点で最も容量が大きいATA対応3.5インチ型HDDは,米Maxtorが販売している320Gバイトの製品という。ただしこのMaxtor製HDDの回転速度は5400rpmであり,7200rpmの製品に限ると最大容量は250Gバイトとなる。

◎関連記事
米Hitachi GST, 300Gバイトの3.5インチ型HDDを発表,回転速度は1万rpm
富士通米法人,厚さ9.5mmの2.5インチ・シリアルATAハード・ディスクを発表
米Seagate,民生電子機器向けHDDを世界DVRメーカー8社に供給へ
「2004年のHDD出荷は3億台,家電品向け需要が前年比70%増へ」と米調査
「2003年のMP3プレーヤ出荷台数は350万台以上,2006年まで年平均50%以上で増加」,米調査
家電製品の業界団体CEAが“注目すべき5つの技術”を発表。家庭内ネットワーク,UWB,DVRなど
「大容量データが保存可能な民生電子機器が人気,HDD業界の二次市場として拡大」,と米調査
「HDD業界はパソコンから民生用電子機器市場に軸足を移す」,米In-Statの調査

[発表資料へ]