「CIO(最高情報責任者)は,2004年のIT支出が増加すると確信しているが,景気の回復がみられるまでは支出を増やす予定がない」。米GartnerのGartner Executive Program(EXP)が米国時間3月9日に発表した。

 北米,中南米,欧州,アジア太平洋地域,中東,インド,南アフリカの956人のCIOを対象に調査した結果,回答者は2004年におけるIT支出が1.4%増加すると考えていることが明らかになった。しかし,支出の増加は同年後半にならなければ始まらないと考えている。

 「CIOは,非常に保守的である。成長のための基盤を築いているが,積極的に成長を促進することはしていない。大半のCIOは,予算が縮小されて経営幹部からの期待が高まると,経費を抑えたままで企業成長を支援するためにITの改善に注力する」(Gartner EXPのリサーチ・ディレクタのMarcus Blosch氏)

 調査によれば,CIOは,セキュリティ,運営経費,データ保護/プライバシを優先している。アウトソーシングは,多くの企業にとって重要な構想であるがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)はCIOにとって理解しにくい部門になっている。3分の2のCIOは,BPOが現在から2007年までに重要になるとは考えていない。Gartner EXPアナリストによれば,多くの場合,BPOに関してCIOは決定権がないという。

 CIOの責任としては,69%が「競争力の維持」を挙げている。これら企業では,CIOが効果,効率,コスト管理,運用的インテグリティの調整を試みている。回答者の15%は,予算管理により「生き残りをかけて戦っている」。16%はIT構想を通じて事業の効率,成長,柔軟性の改善を図っている。

 同社は,CIOが理解すべき傾向として,事業が今までよりも相関性が強くなり,デジタル化される点,情報システム機能が中心となる事業に影響を与える点を挙げている。また,同僚の幹部社員とより多くの時間を過ごすことにより,CIOの信頼性が高くなるという。同社は,これらの傾向を理解すれば,将来に向けて正しい戦略的な決断と技術的な決定が下せるとしている。

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