米Eastman Kodakは,ドイツのオフセット印刷機メーカーHeidelberger Druckmaschinenから二つの事業を買収することで両社が合意に達したことを,米国時間3月8日に発表した。

 Kodak社が買収するのは,デジタル・カラー印刷事業のNexPress Solutions社と,デジタル・モノクロ印刷事業のHeidelberg Digital社。NexPress Solutions社はKodak社とHeidelberger社が折半出資した合弁会社で,Kodak社はHeidelberger社の保有する50%の株式を買い取る。

 またKodak社は,Heidelberg社の別の子会社でドイツに拠点を置くNexPressをはじめ,Heidelberg社の地域マーケット・センターが抱える一部の在庫と資産も取得する。

 取引には業績ベースのearn-out方式を採用する。Kodak社は,売上高があらかじめ設定した目標に達した場合,2年間にわたって定期的に買収代金を支払う。期限の2005年12月31日まで,予定通り支払われた場合,買収総額は最大1億5000万ドルにのぼる。

 Kodak社は今回発表した買収計画により,多角化戦略を推進し,デジタル商用印刷市場への参入を加速したい考えだ。なお,同社は今年のはじめに,高速インクジェット・システムを手がける米Scitex Digital Printingの買収を完了した。

 「買収を通じて,170億ドル規模のデジタル商用印刷市場におけるシェア拡大を図る。2ケタの成長率で拡大するデジタル・カラー印刷市場で戦略的な足場を確保する」(Kodak社社長兼COOのAntonio Perez氏)。

 NexPress Solutions社とHeidelberg Digital社を獲得することで,Kodak社は2004年の残りの期間に約1億7500万ドルの増収を見込んでいる。ただし,2004年通期の1株当たり営業利益見通しは,従来の2.25~2.55ドルから2.05~2.35ドルに下方修正する。また買収にともない,リストラ策を実施する可能性も示唆している。

 Kodak社はNexPress Solutions社とHeidelberg Digital社を一つの事業に統合し,Heidelberg Digital社の設備があるニューヨーク州ロチェスターに拠点を置く予定。現NexPress Solutions社社長兼CEOのVenkat Purushotham氏が責任者を務める。

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