「グリッド・コンピューティングは,2004年に企業が優先するIT投資の6番目にランクされている」。カナダのPlatform Computingが,ロンドンで米IDCが開催するカンファレンスにて現地時間3月4日に調査結果を発表した。

 同調査により,グリッド・コンピューティングに対する投資の優先順位は,前年の8位から6位に上昇し,Webサービス,ERP,通信,CRM,アウトソーシングよりも高いことが明らかになった。調査は,100社を超えるグローバル企業のIT意思決定者を対象に実施した。

 優先順位が上昇した理由として,高いROI(投資回収率)と社内においてITリソースの共有に対する抵抗意識が軽減したことが挙げられている。

 同社チーフ・ビジネス・アーキテクトのIan Baird氏は,基調講演で「グリッド・コンピューティングは,リスクが低く高いリターンが望める戦略的なIT投資である。IT意思決定者は,野心的に考えるべきだが,最初はいくつかのアプリケーションまたは事業部門から小規模に始めるべきである」と述べている。

 同氏によれば,事業にとってグリッド・コンピューティングが重要な技術であると意思決定者が考えていることは明らかであり,観察して状況を見守る段階から実装する段階に移っているという。

 また,同調査によりグリッドは,投資回収が期待でききるIT投資の2番目にランクされていることが明らかになった。アウトソーシング,セキュリティ,ハードウエア,データ・ネットワーク,ストレージよりもランクが高かった。1位は,eビジネス・システムだった。

 回答者の43%は,ITリソースの共有を望まないと回答した割合が前年の調査結果よりも減少したと答えている。前年の調査では,89%の企業が,グリッド・コンピューティング配備の障害として組織内政治を挙げていた。

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