米Lindows.comは米国時間3月4日,ピア・ツー・ピア(PtoP)ネットワークを通じた販売計画を明らかにした。同社PtoPチャネルで「LindowsOS」を25ドル(通常価格は49ドル95セント)で提供する。

 PtoPアーキテクチャを利用することにより,帯域幅を節約し,サーバーやファイアオール,ルーターといったホスティング・インフラを削減することが可能だ。Lindows.com社は,「システムに追加投資することなく,1000人以上のユーザーに同時対応できる」としている。ちなみに従来の手法で同時対応可能なユーザー数は約125人だった。

 「ほとんどのコンテンツ企業はPtoPを敵視している。しかし,商業向け用途はいくらでもある。当社はPtoPをプロモーション・ツールとして使い始めたが,今度は自社のPtoPサーバーを設置し,ソフトウエア販売に役立てる」(Lindows.com社CEOのMichael Robertson氏)

 Lindows.com社が導入したPtoPシステムはBitTorrent技術を用いており,「新製品やアップグレードなど,急激なアクセス集中が発生する大容量アプリケーションの配信に適している」(Lindows.com社)。BitTorrent技術では,データを細かく分割して番号を付け,それぞれを多くの異なる場所から集めて番号順に並び替え,最終的な製品を組み立てる。500Mバイト容量のLindowsOSの場合,データは約1000個の部品に分割される。ダウンロードを実行する全ユーザーが,これらの部品をやりとりしながら,番号を全部揃えるという仕組みだ。各部品の認証にはSHA1を使用する。

 従来のftpベースのシステムでは,ダウンロード・キューを作成するため,配信速度は約200Kbpsだった。1000人以上のユーザーが同時アクセスした場合は4時間も待たなければならない。しかし,新たに導入したPtoPシステムなら,「すぐにダウンロードを開始し,より高速にダウンロードを完了できる」(Lindows.com社)としている。

 Lindows.com社のPtoPシステムを利用するには,クライアント・ソフトウエアをインストールする必要がある。クライアント・ソフトウエアはLinuxのほか,Mac OS,Windowsに対応する。

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