米Xerox傘下の研究所,米Palo Alto Research Center(PARC)は,無線/有線ネットワークの安全性と相互接続性を確保する2つの新技術を開発した。同研究所が米国時間3月2日に明らかにしたもの。安全性に関する技術は,公開鍵インフラ(PKI)を使って無線ネットワークのセキュリティを自動的に確立する手法。相互接続性に関する技術は「Obje」と呼ぶプラットフォームで,複数の標準規格を協調させるためのソフトウエア・アーキテクチャである。

 同研究所が開発したPKIベースのセキュリティ技術は,暗号化に使う鍵ペアの交換を,ネットワーク通信の開始前に限定的な接続環境で行うもの。例えば,まず赤外線や有線接続といった通信範囲の限られた方法を使い,ネットワークに接続する予定のクライアント機器と,ネットワークを管理する装置のあいだで鍵を交換する。その上で,クライアントは無線ネットワーク経由で電子証明書を取得し,実際の通信を始める。

 「我々が行った実験では,同技術を使うとネットワーク認証規格IEEE802.1xに対応するセキュリティ設定が2段階の作業で済み,2分もかからなかった。従来の方法に比べ,時間にして90分,手順にして30段階以上も節約できた」(同研究所)

 もう一方のObjeプラットフォームを使うと,複数のデジタル機器/サービスをネットワークで簡単に相互接続できるという。同プラットフォームは“モバイル・コード”を利用し,各機器やサービスがお互いに協調する方法を教え合う。その際,事前に通信規格などを統一しておく必要はない。さらに同研究所は,「同プラットフォームに対応していない機器でもネットワークに参加できるので,既存製品との相互接続も可能」と説明する。

 「Objeはネットワークの集中管理や特別な設定が不要なので,ホーム・コンピューティングやAVネットワークを簡単に管理/拡張可能なデジタル環境を構築できる」(同研究所)

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,同研究所は両技術の商品化をライセンス供与の形で検討しているという。

◎関連記事
無線LANセキュリティの第一歩
「世界WiFi市場,北米より欧州が急速に成長」,米企業の調査
「ノートPCのWi-Fi利用増加で企業のTCOは年間3~4%上昇」,米Gartner調査
「無線LAN向けセキュリティ,無線関連開発者の20%がWPAを採用」,米社調査
「ロンドンでは無線LANの63%が無防備な状態」,米RSAの調査
「デジタル・ホームの実現には家電の接続性と相互運用性が必要」,米IntelのCEOのBarrett氏
電源線使う家庭内ネットワークの業界団体HomePlugが「HomePlug AV」仕様案を募集
家電製品の業界団体CEAが“注目すべき5つの技術”を発表。家庭内ネットワーク,UWB,DVRなど

[発表資料へ]