米IntelのCEOであるCraig Barrett氏は,東京で開催された「Intel Technology Seminar」にて日本時間2月24日に公演を行なった。同氏は,「デジタル・ホーム」の構想の実現に向けて家電の相互接続性を確立させる必要性を強調した。

 同氏は「次のデジタル技術の革命は,家庭で実現する。パーソナル・コンピューティング,家電の相互運用性,ブロードバンド接続,豊富なデジタル・コンテンツにより,新しい可能性,用途,ビジネス・モデルを導く基盤が確立できている」と述べた。

 同氏によれば,デジタル・ホームの構想において,パソコンは必ずしも中心になるとは限らないが,必要不可欠な存在になるという。同構想では,パソコンを中心に備えることではなく,幅広い家電機器が相互運用性と接続性を持つことが鍵になるという。

 「技術革新の長い歴史の中で,デザインのオリジナリティや強力なブロードバンド・インフラを持つ日本は,デジタル・ホーム革命で世界をリードするポジションにいる。しかし,このチャンスを掴むためには,コンテンツがパソコンと家電機器間で容易に共有できるようにしなければならない。そのためには,消費者が保護されたコンテンツを楽しめるように,コンテンツ・プロバイダが新しいビジネス・モデルを適用するとともに,取り締まり機関がより柔軟なポリシーを作成する必要がある」(同氏)

 Intel社は,ネットワーク接続した機器間におけるデジタル・コンテンツの共有を支援するために,非営利のワーキング・グループ「Digital Home Working Group(DHWG)」に参加している。DHWGは,コンピュータ,家電,携帯電話機などを手掛ける大手企業17社が設立し,現在100社を越える企業が参加している。DHWGは,同年第2四半期に技術設計ガイドラインを提供する。同ガイドラインに準拠する最初の製品は年末までに出荷が予定される。

 同氏は,コードネーム「Florence」と呼ばれるポータブルPCとエンターテイメント向けの「Entertainment PC」のデモも行なった。Florenceには,Bluetooth技術によりワイヤレスで利用できる取り外し可能なキーボードが付属する。リモコンとIPフォンとしても利用できる。内蔵カメラとマイクでビデオ・テレフォニも楽しめる。また,指紋認証デバイスでユーザーの認識を行なう。

 Entertainment PCは,テレビ画面に接続する薄型のPC。Ethernet,USBに対応し無線アクセス・ポイントも備えている。また,大型の背面投射型テレビで採用されている「LCOS(Liquid Crystal on Silicon)」技術のデモも行なった。低価格で大型スクリーンの表示を改善する。早ければ年内に大型スクリーン・ディスプレイとして製品化される予定。価格は2000ドルを切ると予想される。

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