米Intelは,超広帯域無線(UWB:Ultra-Wideband)に関する取り組みをサンフランシスコで開催中の開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)Spring 2004」で米国時間2月18日,明らかにした。パソコン,民生電子機器,携帯電話通信業界の企業と協力し,標準規格をベースにした共通プラットフォームの開発を進める。「同プラットフォームを利用した将来のUWB対応製品により,家庭や職場のデバイス間でマルチメディア・コンテンツの高速無線転送が行えるようになる」(Intel社)

 UWBは,短距離間の民生電子機器,パソコン周辺機器,モバイル装置どうしでデータを転送するための無線技術。高速でありながら,消費電力を低く抑えることが可能。高画質マルチメディア・コンテンツの転送に向いており,例えば,居間でデジタル・ビデオ・レコーダから高品位テレビに家族のビデオを無線で送ったり,会議室でノート・パソコンからプロジェクタにプレゼンテーションを配信するといった利用法が考えられる。

 開発する共通プラットフォームは,主にUWB無線レイヤーと集約レイヤーからなる。この2つのレイヤーが伝送の基盤メカニズムとなり,ワイヤレスUSB,IEEE 1394,Bluetoothの次世代版,Universal Plug and Playなどの無線規格に別々に対応している各種アプリケーションを処理する。

 UWB無線レイヤーの開発は,現在,UWBの推進団体であるMulti-band OFDM Alliance(MBOA)が取り組んでいる。MBOAは,物理層,メディア・アクセス層,UWBインタフェース向けのマルチバンドOFDM(直交周波数分割多重方式)の仕様を策定する。同仕様では,最大480Mbpsの転送速度を狙う。

 Intel社は,UWB対応製品が2005年の早い時期に登場するとみている。

 また同社は他の技術企業とともに,ワイヤレスUSBの普及促進を図る業界グループ「Wireless USB Promoter Group」を立ち上げた。参加企業には,米Agere Systems,米Hewlett-Packard(HP),米Microsoft,NEC,オランダのPhilips Semiconductors,韓国のSamsung Electronicsが含まれる。

 同グループでは,すでにワイヤレスUSB仕様の定義に取りかかっている。USB 2.0と同等の転送速度である480Mbpsを目指し,「これまでの使い勝手とアーキテクチャを維持することで,既存(有線)のUSB製品がスムーズに移行できるようにする」(Intel社)。同仕様の策定は,MBOAや無線PAN(personal-area network)推進団体WiMedia AllianceによるUWB関連の活動と連携する。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]