米Intelは米国時間2月18日,開発者向け会議Intel Developer Forum(IDF)Spring 2004で,職場における生産性やセキュリティなどの向上を目指す技術構想「デジタル・オフィス」を発表した。IDFの基調講演で,同社デスクトップ・プラットフォーム・グループ担当副社長兼ジェネラル・マネージャのBill Siu氏は,「デジタル・オフィスは企業やIT部門の拡大する要求に応えることで,あらゆる価値をもたらす」としている。

 この構想を支える基盤として,同社は90nmルールで製造するHyper-Threading(HT)Technology対応「Pentium 4」プロセサ(開発コード名はPrescott)と,次世代チップセット「Grantsdale」(開発コード名)を挙げる。さらに将来,HT Technologyの後継技術として,単一LSIに2つのプロセサ・コアを搭載して実現するマルチ・スレッディング技術を提供するという。

 セキュリティ強化については,HT Technologyにメモリー保護技術「No Execute(NX)」とセキュリティ技術「LaGrande」を組み合わせるとしている。NXは,既にサーバー用プロセサ「Itanium 2」で採用されている技術で,クライアント用プロセサには2004年後半搭載の予定。

 LaGrandeは,プロセサ,チップセット,プラットフォームの機能を強化する技術。米Microsoftが提唱するパソコンのセキュリティを高めるPalladium計画のハードウエア部分を担当するプロセサとチップセットを指す。保護されたプログラム実行環境/メモリー空間/ストレージをユーザーに提供する。LaGrande用ソフトウエアと組み合わせて運用することで,コンピュータ・システムに対するソフトウエア・ベースの攻撃を防げるという。

 さらに同社は,信頼性を高める技術「Vanderpool Technology(VT)」(開発コード名)の紹介も行った。プロセサとチップセットのハードウエアを強化する一連の技術の名称で,プラットフォームの回復性/信頼性向上を図るもの。メインフレーム・コンピュータと同じように,1台のパソコンに複数の独立したソフトウエア環境を構築でき,システムの信頼性,柔軟性,応答性を向上できるだけでなく,障害発生後の復旧にかかる時間も短縮できるという。

 また同社は,プロセサ/チップセットなどの提供スケジュールや概要についても明らかにした。主な内容は以下の通り。

・2004年に動作周波数1.4GHz/1.6GHzのデュアル・プロセサ・システム向けItanium 2をリリースし,2005年に「Millington」(開発コード名)の提供を始める

・デュアル・プロセサ・サーバー/ワークステーション向けとして初のマルチ・コアItanium 2「Dimona」(開発コード名)は,Millingtonの後にリリースする

・初のデュアル・コアItanium 2「Montecito」(開発コード名)のリリース予定は2005年。同社の第3世代チップセット「Bayshore」(開発コード名)で対応する。Montecitoでは,キャッシュの信頼性を高める技術「Pellston」(開発コード名)と,負荷性能を向上する技術「Foxton」(開発コード名)を新たに導入する

・64ビット拡張技術を導入する将来版「Xeon」(開発コード名はNocona)の動作周波数は3.6GHz,システム・バス(FSB)クロック周波数は800MHz。DDR2メモリーとPCI Expressに対応する。2004年前半リリースの予定(関連記事

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