経営コンサルティング会社の米Boston Consulting Group(BCG)は米国時間2月3日に,米国工業製品業界の製造事情に関する調査結果を発表した。それによると,主要な工業分野における企業の15%以上が,人件費などのコストが低い国々に製造やサポート・サービスを移す可能性があるという。「米国における直接製造業の110万人分の職が海外に流出することになる」(BCG社)

 BCG社は「ほとんどの場合,企業が組織上のトレンドや製造の経済面を理解すれば,オフショア・アウトソーシングへの動きは当然ことだ」,と述べている。「オフショア・アウトソーシングによって,経営者は優先事業を見極め,競合社より早く行動することができる」(同社)

 BCG社によると,主要な工業製品分野のオフショア・アウトソーシングに対する取り組みは,主に以下の4タイプに分かれるという。

・Early Movers(早期移行型):すでに低コスト国での製造が広く行われており,現在もゆるやかに増加している。調査対象となった製品カテゴリの約20%がこれに該当する。米国に届く前に組み立てが完了し,米国の製造業者の手を通らないため,多くの製造収入が米国から流れていることになる。

・Growing Fast(急成長型):短期間に低コスト国への製造拠点移行が進む。:すでに低コスト国からの製品輸入が浸透しており,今後もその傾向が加速する。調査対象となった製品カテゴリの15~20%がこれに該当する。掃除機,台所用品,加湿器などが含まれる。

・Up and Coming(急成長予備軍型):低コスト国のアウトソーシングは比較的少ないものの,一度オフショア・アウトソーシング導入を始めると,急速に変化する可能性がある。調査対象となった製品カテゴリの約30%がこれに該当する。航空宇宙関連部品や建築用金属などが含まれる。

・Globalizing Slowly(現状維持型):しばらくのあいだ,低コスト国へのアウトソーシング導入を進めることはない。調査対象となった製品カテゴリの25~30%がこれに該当する。トラック・トレイラーなどのように,低コストのアジアに委託するメリットのない製品や,金属加工機械のように低コスト国が技術を持たない製品が含まれる。

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